令和3年2月定例会(第3号)=1= 2021年3月3日
◯九十番(富田昭雄君)
議長のお許しを得ましたので、通告に従い順次質問してまいります。
まずは、最前線の医療現場で、コロナ禍中、日夜頑張っておられる医療従事者の皆様に感謝し、敬意を表したいと存じます。
さて、私の今回の質問は、県行政DX推進について、教育問題について、そして食料問題の三件についてお聞きいたしますが、いずれもコロナウイルス感染拡大の影響で、人々が今まで当たり前だったと思っていた日常が大きく転換し、その変化にどのように対応していくべきかという視点でお聞きしたいと思います。
そこで、まずは、県行政のDX推進についてお聞きいたします。特に、愛知県庁がDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、どんな変革をもたらすかについてであります。
新型コロナウイルスの感染拡大により、業務のデジタル化に拍車がかかり、働き方が大きく変わりました。緊急事態宣言が出されると、多くの企業が社員の在宅勤務、テレワークに踏み切り、会議もオンライン化が進みました。今やテレワークは、日本企業のニューノーマルになりつつあります。
もともと働き方改革により、テレワークのニーズは高まっていましたが、広がりは芳しくなかったわけで、勤怠管理の難しさ、結果に基づく業務評価へのシフトの必要性など要因は多々ありますが、テレワークは推進されてこなかったのです。しかし、このコロナ禍で、テレワークの広がりとともにDXが推進され、デジタル化の取組が加速をいたしました。
デジタルトランスフォーメーションはどんな意味でしょう。単なるデジタル技術の活用ではなく、究極的には、従来の業務、ビジネスモデル、組織、人間、そして企業文化の変革まで求めるものであると言われています。
そして、DXを推進していく上で必ず来ると言われているのが二〇二五年の崖という問題であります。二〇二五年の崖とは、複雑化、老朽化、ブラックボックス化した既存のシステムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや、我が国の経済の停滞などを示す言葉であります。
経済産業省が発表したDXレポートにおいて、もしDXが進まなければ、二〇二五年以降、最大で年間十二兆円の経済損失が生じる可能性があると警告しています。既存のシステムに多くのコストや人材が費やされることで、新しいデジタル技術などにICT予算などの資源を投資できなくなり、企業のグローバル競争力を低下させると危惧されています。
二〇二五年には既存システムを新しくする必要があり、この波に乗り遅れた企業は、多くの事業機会を失うと言われています。だからこそ、愛知県が中小企業の皆様にDX推進を促し、支援していかなければなりません。そこで、愛知県はDX推進本部を設置し、昨年十二月にあいちDX推進プラン二〇二五を策定しています。
中小企業を支援するためには、まず、愛知県庁がDX推進を取り組み、変わらなければなりません。近年では、ICTの十分な活用や行政サービスのデジタル化を進めるほか、業務合理化、効率化を進めています。そして、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のデジタル技術の活用について、二〇一九年に施行導入した結果、作業時間の削減につながったことからも、今後も継続するとともに、対象業務の拡大を進めると聞いています。
RPAは県の仕事の仕方を改善する非常に有力なツールであり、積極的に活用すべきと考えます。また、先端技術を取り入れた環境整備を行ったとしても、その技術を使いこなせる職員がいなければ、ICTの利用は進まないと考えます。
そこでお聞きいたします。
愛知県庁において行政のDXを推進するためには、職員の意識を変えていく必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか。また、RPAなどの業務改革ツールも使いこなせる職員のデジタル人材の育成、確保には、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしておきます。
次に、行政手続のオンライン化についてお尋ねいたします。
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて実施された特別給付金のオンライン申請では、二重申請や入力誤りから給付が遅れるなどトラブルが続出して、行政のデジタル化の遅れが明らかになりました。
一方、県民にとっては、新型コロナウイルスの感染を防ぐために、人と人の接触を避け、役所に行かずに、自宅やオフィスなどからパソコンやスマートフォンで手続を済ませたいというニーズが増加している状況です。
令和元年度に施行されたデジタル手続法において、国の行政手続はオンライン実施が原則となりました。さらには、国は令和三年度に社会全体のデジタル化をリードするためにデジタル庁を設置する予定であるなど、デジタル化を強く押し進めようとしています。行政手続をオンライン化する手段を使うことで、県民が常に自宅やオフィスから行政手続を済ませられるようになります。
押印という手続も簡略化をすることになりました。これは、県民の利便性が向上するだけでなく、県民も、そして職員も、新型コロナウイルス感染症の感染リスクも避けることができるでしょう。さらには、煩雑化した窓口や単純作業に人手を取られていた業務から、本当に人でしかできない業務をしてもらうことになると思います。
そこでお聞きいたします。
愛知県として、こうしたDXを手段とした抜本的な変革が必要だと考えますが、まず、DXの手段の一つとして、県民サービスの向上に必要不可欠な行政手続のオンライン化について、どう取り組むのかお聞きいたします。
次に、国の根幹である教育問題についてお聞きいたします。未来を生きる子供たちが必要な力を身につけるために、どのような教育現場の変革が必要かということであります。
コロナ禍で対面授業ができないという事態に直面し、どうしたらよいのか途方に暮れる状態が続き、学校行事や部活動も中止、クラスメートとのコミュニティーの喪失も大きな問題となりました。学校での意思決定の在り方、ICTの遅れ、そして一方通行の授業など、課題も見えてきました。
学校では、オンラインによる学びはコロナ禍で始まり、臨時休校中でも授業の内容も、オンデマンド型の配信もあれば、オンライン配信もあったようです。まず、どの学校も学びを止めないを合い言葉に、対面が当たり前であった授業を一人でパソコンに向かって話し続けるという、予想もしなかった体験を教員の皆様もされました。
しかし、このようなデジタル化が進めば進むほど、一方通行の授業になりかねません。これからは、生徒自らが学びに向かう姿勢がより重要になってきます。
成長社会から成熟社会へと変化し、みんなが一緒という時代から、一人一人の個性を伸ばす時代へ変わってまいりました。新しい学習指導要領にも、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力等の育成が大きな柱の一つになっています。
最近では、アクティブラーニングという双方向の学びが積極的に取り入れられているようであります。また、休校による学習の遅れを取り戻そうと、民間のオンラインの学習支援サービス、スタディサプリが県立高校で導入され、自ら学ぶことを体験し、活用されています。
そこでお聞きいたします。
コロナ禍でデジタル化が進む中、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力を育むために、県立高校ではどんな取組をされるのか、お聞きいたします。また、ICT化を推進するために、教員のスキル向上への支援はどうされるのか、お聞きしておきます。
次に、高校の在り方についてお尋ねいたします。
コロナ禍にあり、デジタル化が進み、学び方も大きく変わり、既存の組織も仕組みも見直されています。未来の教育を予感させる取組が全国で始まっています。子供たちが多くの進路から将来を選択できる教育環境を考えなくてはなりません。
そこで、愛知県では、現状の高校入試制度を見直そうと、愛知県公立高等学校入学者選抜制度の改善に関する検討会議が設置されました。多くの教育関係者の方々が議論され、答申案がまとまったようです。
まずは、現行制度にどんな課題があったのか、明らかにする必要があります。
複合選抜制度が実施されて三十二年が経過しました。最も大きな問題は、定員割れの問題です。私学は、一時は約二千四百名あった欠員が昨年は千百名まで改善されました。それに引き換え、公立では、今年度、千五百十四名と、前年度より五百三十一人も増加しています。
また、二校志願が八割を割り込んでいて、二校選べないということは、現行制度の根幹に関わる問題です。これは、成績上位層の生徒にとっては安心できる制度でありますが、成績上位と言えない生徒、あるいは交通の便のよくない地域に住む生徒には二校の組合せに制約があり、魅力的な制度になっていないと考えるべきです。最近の私学の人気や公立の合格者の発表の遅さで、二校受験が減っています。
ほかにも、学校格差の問題があります。この三十年で序列化が進んだという受け止めは、多くの関係者の認識であると聞いています。都心から離れた地域にも幾つもの指導重点校と言われる普通科高校が点在しています。また、全日制の進学率は昨年も八九・七%と、計画進学率九三%とでは三%の乖離があります。人数にして二千五百人以上の乖離が常態化している状況であります。
こうした幾つかの課題を解決しながら、新しい教育環境をどう整えるかということであります。
検討会議の議事録を読ませていただきました。大変期待をしておりましたが、まとめられた答申案は、二校志願はそのままで、学力検査は一回とするものでありました。
この案で進むならば、採点の公平性、客観性をどう担保するのかが大きな課題となります。また、県立高校の定数が大きく割れている問題や、全日制の実質進学率が低く、計画進学率との乖離が大きいという問題など改善されないまま、幾つかの課題が残ると考えられます。
そこでお聞きいたします。
学校の在り方として、今回の高校入試選抜制度の見直し案、二校志願・一回試験等について、教育委員会としてどのように受け止めておられるのか、教育長の御所見を伺います。また、定員割れの問題や実質進学率の低下の問題など、この案で是正されるとお考えなのでしょうか、お尋ねいたします。
今回の答申案で一つだけ目を引く内容がありました。特色選抜制を新たに設けるというものであります。これは、全国でも四割の県が導入しており、特色ある学校づくりに役立つと思うからであります。もう同じ尺度で推しはかるのではなく、生徒の個性を伸ばす環境づくりが必要だと思います。
今回の案では、成績順に合格校を決める基本的な仕組みは変更なく、学力最上位の頂点校から最下位の生徒が集中する高校まで序列化が必然的に生まれることは今後も続くと思われます。下位校では次第に不人気となり、定員割れ、全日制進学率の低下を生み出す大きな要因であることは否めません。
特色選抜は、特色のある学校にするための有効な手段です。序列化を是正するために、生徒たちが志願したくなるような、魅力ある県立高校を打ち出していくことが必要だと思います。
これから瑞陵高校や岡崎北高では理数科の設置、守山高校や幸田高校では企業連携コースの設置など、新たな取組が始まろうとしているようでありますが、もっと選択肢を増やしてほしいものです。
そして、実施するには、校長の人選が最も重要と考えます。特色ある学校のビジョンを提案できるような優秀な人材を校長に登用し、ある程度の期間を任せ、結果を出してもらうことが必要だと思います。
そこでお聞きいたします。
県立高校の特色ある学校づくりに今後どのように取り組んでいくのか。また、特色選抜を実施するとすれば、どのように活用するのが望ましいとお考えか、お聞きしておきます。
次に、食料問題についてお聞きします。
コロナ禍において、生産者の皆様も食品の消費が減って大きな打撃を受けています。どう生産者を守り、食料の安定供給を今後確保していくか、食料危機を考える時代になりました。
国連WFPの二〇二〇年度の発表によりますと、世界で極度の食料不安を抱える人は約二億七千万人で、新型コロナウイルスのパンデミック前に比べ八割増えたといいます。そして、七千五百万人の子供たちが慢性的な栄養不足による発達障害に陥っているそうです。要因としては紛争や極度の気象、経済の混乱で、そこに今回の新型コロナウイルスであります。
国連サミットで採択されましたSDGs(持続可能な開発目標)の考え方は、誰一人取り残さないであります。こういう状況の中で、自分たちに何ができるかということでありますが、愛知県も食料問題を考えなくてはなりません。
まずは、食品ロスの問題であります。
新型コロナウイルスの流行によって、食品の消費や流通が大幅に減少したことで、さらに食品ロスに注目が集まっています。感染防止の一環で、学校給食やイベントが中止され、飲食店や食品販売業の営業短縮と客数が減少したことで、農産、畜産、海産物など食料や加工食品の引取手が減り、大規模な食品ロスが発生しています。以前から、コンビニや外食産業での食べ残し、賞味期限切れによる食品の大量廃棄が問題になっていますが、一方で、世界では、国連の発表では、極度の飢饉人口が一億四千九百万人と言われ、飢饉で苦しんでいる国が多数あります。世界で食料生産は、一人一人が食べられる分の生産量を維持できているのですが、三分の一が食料ロスで消えていると言われ、食料の供給が偏っています。
また、食料廃棄によって発生する二酸化炭素の量は、アメリカ、中国に次いで日本が三番目に多く、地球環境にも大きな影響を与えると言えます。日本の食品ロス、年間六百十二万トンです。日本が海外に行っている食料支援の二倍近くになる量であります。
一昨年十月より食品ロス削減推進法が施行されて、取組が始まりました。大量に発生している食品ロスは、一体どこから出ているのでしょう。事業者が多いかと思ったのですが、そうでもなく、農林水産省の発表した内訳では、事業所から五五%、家庭から四五%でした。思ったよりも、家庭での廃棄も多いのです。
家庭から出る食品の中には手つかずの食品が四〇%もあり、そのうち四分の一は、賞味期限前に捨てられています。賞味期限は、おいしく食べるための目安でありますが、期限を過ぎても十分に食べられるものもあるようであります。
食品ロス削減も国連サミットで採択された国際目標で、SDGsにも取り上げられ、二〇三〇年までに半減させる目標がうたわれています。日本人の美徳でもあるもったいない精神で、家庭から出る食品ロスを減らさなければなりません。
事業者からは、流通過程で半分ほど廃棄されているようです。このことに対して、企業や民間団体では様々な取組が始まっています。フードバンクのように、規格外品など食べられるのに廃棄される商品を福祉施設や子ども食堂などに無償で配布する活動をしている団体も全国に八十団体ほどあるようです。
また、最近では、飲食店で廃棄される寸前の料理や賞味期限で捨てられてしまう食品を安く購入できるインターネットサイトやスマートフォンアプリも開発されているようです。そして、インターネットでメーカーと消費者をつなぐフードシェアリングも行われています。
こうした食べられるのに商品そのものが賞味期限切れや季節物で販売できず廃棄される商品を安価で販売するプラットフォームもあるようであります。同サイトは、利用者の購入金額の一部が社会貢献活動に寄附されることもあって、魅力的になっております。
小売業では、様々な企業で食品リサイクルが始まっていて、食品残渣で飼料やバイオマス燃料の原料としても活用されています。スーパーマーケットなどでも数年前には、恵方巻き等の季節商品が大量に廃棄される風景が報道されて話題になっていましたが、最近では、予約販売やAIを活用した仕入管理をされるなど、多くの企業で大幅な廃棄の削減ができている調査結果があります。
こうした企業の取組を広げるためにも、県民の意識を高めることは重要と考えます。
そこでお聞きいたします。
食品ロス削減推進法が施行されて一年。愛知県として、食品ロスの削減に今後どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。また、コロナ禍で大きな影響が出ている生産者の皆様にどのように支援するのか、お考えをお聞きいたします。
次に、食料自給率の問題をお聞きいたします。
日本の食料自給率はカロリーベースで三八%と低く、海外からの食品の供給に依存するところが大きいわけです。大都市ではその中でも最も低く、東京では一%、愛知県でも一一%であります。国を維持するには限界の数字だと言われています。
これからは、食料が海外から入ってこなくなるかもしれません。世界的な異常気象、砂漠化の進行、酸性土壌の増加に加え、昨年は、中国・揚子江流域での大水害、アフリカ大陸から始まりアジア大陸に猛威を振るうサバクトビバッタが農作物を全滅させるなど、農業に対する被害は想像を絶するものになっています。
国内では、ただでさえ農業が深刻な状況にあります。国産を増やし、地産地消を活発にするためには、農業を活性化させなければなりません。
農業の現状はどうかといえば、担い手の高齢化、ほとんどの農家が団塊の世代か、それ以前に生まれた人です。六十歳以上の農業従事者が八〇%に達するといいます。十年たったら、農業をやる人が激減いたします。だから、農地もどうするのか、今から考えておかなければなりません。このままでは、耕作放棄地が拡大するだけであります。
国内農業の衰退は、国土保全や農村維持などの多面的な機能の低下も招きます。自給率低迷の問題は、安全保障の観点からも国民的な問題であります。農林水産省は令和二年度、食料・農業・農村基本計画において、二〇三〇年までに自給率をカロリーベースで四五%までに高めることを掲げています。
自給率向上のヒントになるのが北海道の取組でありまして、道内の米消費量は、一九九〇年代に三七%だったものが二〇一九年には八六%まで高まりました。生産振興とともに、地道な消費拡大の活動を長年続けてきたことが成果に現れています。小麦も道内産に切り替える運動を展開して、地元産だけで作ったパンも最近人気のようであります。これは、地産地消の流れを育んでいます。
愛知県も、小麦生産を安定して収穫でき、消費者ニーズにもしっかり応えられる生産者を育成し、ドローンなどのスマート農業技術の活用によって、さらなる品質向上や収穫量の増加を期待したいものであります。
品種については、昨年制定した愛知県種子条例に基づいて、県に蓄積された知識、技術、経験を活用し、県内の気象や土壌に適した品種作りが引き続き必要だと考えます。特に農業総合試験場では、ICTなど急激に進展する新技術を利用した革新的な研究を行うために、情報や技術を持つ大学や民間企業とのさらなる強化が続いています。
そこでお聞きいたします。
食料自給率を上げるためには、農業を活性化する必要がありますが、愛知県農業総合試験場の研究において、大学や民間企業と連携をし、スマート農業技術や画期的な新品種の開発など、技術革新をどのように進めようとしておられるのか、また、新たに開発した技術や品種を活用して、地産地消をどう促進させるお考えか、お聞きいたします。
これで、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯総務局長(林全宏君)
愛知県行政のDX推進について、三点お尋ねをいただきました。
初めに、職員の意識改革についてお答えします。
あいち行革プラン二〇二〇では、デジタル化、グローバル化が進展するなど、県政を取り巻く環境の変化が非常に速く、先を見通すことが非常に困難な時代である中にあっては、人財を最も重要な経営資源、資本、財産と位置づけております。
このような考え方の下で、愛知県における人材育成の基本的な方針、方向性を定めた、昨年十二月策定の愛知県人材育成基本方針では、職員の能力開発の中心は職場でのOJTとしており、日常的な業務の工夫、改善を絶えず行い、仕事の質の向上を図ることを通じて、職員の質的向上、人材育成を進めるとし、そのための意識改革の取組を促進することとしております。
議員御指摘のとおり、DXの推進に当たっても、何よりも職員の意識改革を進めることが重要であり、ICTの活用方法を常に意識して、仕事のやり方、取り組み方を工夫したり、ICT環境を整備したりしていくことが必要であると考えております。
このため、専門家を講師に招き、DX推進における管理職の役割と責務を主な内容とする意識改革研修も既に実施いたしました。
また、愛知県感染防止対策協力金に関する県民の皆様からの御質問に、AIにより自動応答するチャットボットの構築、運用は、職員が日本マイクロソフト株式会社様の支援を得ながら、業務について工夫したものでありまして、具体的な取組効果も現れ始めていると考えております。
今後も、行政のDXを推進するため、さらなる意識改革を促す取組を進めてまいります。
次に、デジタル人材の育成、確保についてであります。
新しく策定したあいちDX推進プラン二〇二五においては、デジタル人材育成をプランの視点、柱の一つに位置づけております。
そこで、来年度のデジタル人材育成計画の策定に向け、部門別、職級別に必要なスキルや研修体系などについての検討を進めてきております。
具体的には、ICT知識に関する基礎研修、ICT活用プロジェクトの立案研修、システムの運用研修、RPAの操作研修を実施するなどのきめ細かい研修プログラム体系の構築を考えております。
また、民間企業との人事交流を進め、専門知識を有するデジタル人材をDX推進室で受け入れるとともに、県職員を民間企業へ派遣することにより、情報交換を積極的に行いながらノウハウを吸収し、本県職員のデジタル面におけるスキルアップにつなげてまいりたいと考えております。
さらに、来年度からは、民間企業等職務経験者を対象とした職員採用試験にICT枠を新設し、募集を年二回、随時採用とすることで、DXを推進する人材を幅広く確保してまいります。
このように、職員研修にとどまらず、民間企業との人事交流やICT枠の職員採用により、県職員のデジタル人材の育成、確保を図ってまいります。
最後に、行政手続のオンライン化についてであります。
昨年十二月に策定しましたあいちDX推進プラン二〇二五においては、行政手続のデジタル化の取組方向の一つとして、オンライン化可能な行政手続の一〇〇%オンライン化を目指すこととしております。
これを踏まえ、今後、県の行政手続のオンライン化に向けた方針を策定することとしており、現在、さきの十一月定例県議会において御議決いただいた補正予算により、本県の行政手続のオンライン化の検討や手続の見直しの基礎資料とするために行った調査の結果に基づく課題の分析、行政手続を所管する課へのヒアリング、方針の策定についての意見の提案を民間事業者に委託して行うなど、準備を進めております。
もとより、行政手続のオンライン化については、県民生活の利便性の向上や手続の簡素化などによる行政運営の効率化に資するものであり、できる限り早く進めていかなければならないと認識しております。
こうした認識の下、今後、オンライン化を実現する上での課題の解消方策を十分に検討し、行政手続のオンライン化に向けた方針を策定してまいります。
◯教育長(長谷川洋君)
初めに、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力を育成する取組についてお答えいたします。
学習指導要領では、学校教育がこれまで目標としてきた生きる力をより具体化し、育成を目指す資質、能力を生きて働く知識・技能の習得、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成、そして、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性等の涵養、この三つの柱に整理をしております。
各学校では、この資質、能力の育成を目指して、主体的、対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングの実現に向けて、授業改善を進めることとしております。
県教育委員会では、第二期県立高等学校教育推進実施計画に基づき、本年度から県立高等学校十二校を主体的、対話的で深い学びを実践するあいちラーニング推進事業の研究主管校に指定し、課題解決型学習や協働学習など、授業改善の実践研究を行うとともに、公開授業と研究協議会を開催し、成果の普及を図っております。
今後は、二〇二四年度までに全県立高校を順次、このあいちラーニング推進事業の研究校に指定し、引き続き、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力を含めた生きる力の育成を図ってまいります。
次に、ICT化を推進するための教員のスキル向上の支援についてお答えいたします。
教育委員会では、本年度、県立高等学校十校をICT教育研究実践モデル校に指定し、研究校における公開授業や成果報告会を通じてICTを活用した指導事例を紹介し、参加した教員の指導力向上を図っております。
今後、本県が昨年十二月に包括協定を締結した日本マイクロソフト株式会社の協力を得て、各学校でICT推進の中核を担う教員に対して研修を進め、その教員が中心となって、勤務校の教員全体のICT活用指導力の向上を目指す取組を計画しているところであります。
こうした取組により、今後ますます重要となる教員のICT活用指導力のさらなる向上に努めてまいります。
次に、公立高等学校入学者選抜制度の改善についてお答えいたします。
新しい入試制度は、中学生の成長や自己実現にとってより望ましく、多様なニーズに対応できる制度とすることを目指しております。
一般選抜で二校に志願できる制度は、受験生が志望校に安心して挑戦できるだけでなく、受験生を支える保護者にとっても安心感のある制度として定着しております。昨年度末に県内の公立中学校や高等学校の校長を対象に実施したアンケートにおいても、二校志願の維持を望む回答が中学校で八五%、高等学校においても五四・三%ございました。こうしたことから、検討会議においては、新しい制度でも、二校志願を維持するというまとめが得られました。
一方で、これまでの二校志願の制度では、学力検査を二回受けることが受験生にとって負担となっているという指摘もございましたので、新しい制度では、学力検査を一回に減らすことで、受験生の負担が軽減されるものと考えております。また、中学校や高等学校における入試の事務作業が合理化され、教員の働き方改革にもつながると受け止めております。
なお、新しい制度では、一回の学力検査の成績を二校で利用することになります。したがって、議員御指摘のとおり、採点の公平性を担保する必要が生じますので、公立高等学校全体で採点基準を統一する方法等につきまして、今後、検討を進めてまいります。
次に、定員割れや進学率についてお答えいたします。
新しい制度では、学力検査を一回として受験生の負担を軽減するほか、推薦選抜を早期に実施して、進路が決定する時期を前倒しするなど、現行制度に比べますと、公立高校に出願しやすくなりますので、これまで以上に多くの生徒の志願が見込まれ、欠員の減少につながるものと考えております。
また、全日制課程への進学率が八九・七%にとどまっていることにつきましては、昼間定時制を含めた定時制課程、広域通信制を含めた通信制課程など、中学生の進路選択の幅が広がり、多様化が進んでいることが主な要因と考えております。
入試制度を改善するとともに、県立高校の特色化を推進し、中学生の多様なニーズに応えることができるよう、全日制課程だけでなく、定時制課程や通信制課程においても個々の学校の魅力向上を図り、県立高校が多くの生徒に志願されるよう努めてまいります。
なお、今後、さらに生徒数が減少してまいりますことから、地域ごとの中学校卒業者数の推移や欠員の状況など地域の実情を踏まえて、全県的な県立高等学校の再編構想を二〇二一年度中に取りまとめてまいりたいと考えております。
次に、特色ある学校づくりと、新しい入試制度における特色選抜についてお答えをいたします。
特色ある学校づくりにつきましては、第二期県立高等学校教育推進実施計画に基づいて、学科の改編や普通科のコース設置などによりまして、学校の特色化を進めているところであります。
二〇二一年度には、工業高校の学科改編を行うとともに、校名を工科高校に改称してまいります。
次に、二〇二二年度には、守山高校と幸田高校を全日制単位制高校に改編し、企業連携コースを新たに設置いたしますとともに、瑞陵高校と岡崎北高校に理数科を設置するなど、多様な生徒のニーズに応える魅力ある高等学校づくりを進めてまいります。
また、中学校長の推薦を必要としない特色選抜につきましては、検討会議において、高校の特色を生かした選抜により、学ぶ意欲と主体性の高い生徒を入学させることができる、そういったことから、新たに導入することとされたものであります。対象生徒や実施する学校、学科など、制度の具体的な内容につきましては今後慎重に検討し、今年の秋頃までに公表をする予定でございます。
教育委員会といたしましては、議員御指摘のとおり、新しい入試における特色選抜は、特色ある学校づくりに有効であると考えております。特色選抜の導入をはじめ、入試改革や学校の特色化を推進し、県立高等学校の一層の魅力向上につなげてまいりたいと考えております。
◯環境局長(岡田守人君)
食品ロス削減に向けた取組についてお答えいたします。
食品ロスは、生産から消費等の各段階において日常的に発生しており、削減のためには、県民の皆様をはじめ事業者等に対し、食べ物を無駄にしないという意識の醸成を図り、行動につなげていくことが重要であると考えております。
これまでも、先進的な取組事例の紹介や有識者による講演等のイベントを開催するほか、次世代を担う子供たちへの環境学習プログラムの実施により、食べ物を無駄にしないという啓発を行ってまいりました。
こうした取組に加え、これまで本県が行ってきた独自の排出量の実態調査を踏まえ、来年度は、食品ロス削減の数値目標を定めた食品ロス削減推進計画を庁内関係局と連携して新たに策定し、食品ロス削減に向けた取組を強化してまいります。
この計画の推進に当たっては、食品関連事業者等を含む業界団体や消費者団体、市町村等百十二団体で構成するごみゼロ社会推進あいち県民会議や、自治体で構成する全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会等と連携、協働して取り組み、食品ロス削減に向けた意識や行動が社会全体に広がるよう努めてまいります。
◯農業水産局長(中根俊樹君)
コロナ禍で影響の出ている生産者への支援についてお答えします。
県では昨年四月以降、切れ目なく補正予算を編成し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い需要が減少した農畜水産物の新たな販路の開拓などに取り組む生産者を支援してまいりました。
具体的には、出荷調整で市場に出せなくなったオオバや食用菊といったつまものの新たな需要を喚起する取組に対して助成する事業を創設し、新商品の開発や販路の開拓を後押しいたしました。
また、牛肉や名古屋コーチン、ウナギやシラス、ニジマスを学校給食の食材として提供し消費拡大とともに、児童生徒を通じて各家庭に地産地消の大切さを伝える取組も行っております。
さらに、インターネット上で県産農林水産物やその加工品を販売するあいちの食と物産マルシェを開設し、新たな販路の開拓に取り組む生産者を支援しております。
来年度も引き続き、こうした学校給食への提供やインターネットでの販売など、生産者が販路の多様化を図る取組を、国の事業等を活用してしっかりと支援してまいります。
次に、食料自給率を向上させるための技術革新と地産地消の促進についてであります。
食料自給率向上には、スマート農業技術や画期的な新品種の開発も重要であり、農業総合試験場では、現在、大学十一校、民間企業十三社と提携して、三十六課題の共同研究を進めております。
例えば、名古屋大学との共同研究では、地下水位を自由に制御できる水田を整備し、根腐れなどの湿害や干ばつなどの異常気象に強い、画期的な栽培技術や品種の開発に着手しております。
一方、地産地消の取組では、県が開発しました小麦の新品種きぬあかりやゆめあかりについて、試験的な生産段階から県内の製粉、製麺、パンなどの業界団体と連携して利用促進を図った結果、飲食店や小売店から高い評価をいただき、現在では、本県で生産された小麦のほとんどが県内で消費されております。
今後も、農業総合試験場の持つ技術や知見と、大学の有する先端技術、民間企業が有するモノづくりのノウハウを融合し、一層の技術革新を進めるとともに、新たな技術や品種を活用し、食料の安定供給と地産地消にしっかりと貢献してまいります。