令和4年2月定例会(第2号) 2022年2月28日

◯九十番(富田昭雄君)
 質問に先立ちまして、ウクライナ情勢について一言申し上げます。
 今回のロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、武力行使を原則禁止する国連憲章に対する重大な違反であり、断じて許されるものではありません。我が団といたしましても、ロシア軍による攻撃やウクライナの主権侵害に抗議するとともに、一刻も早く平和を取り戻すため、早期の話合いによる停戦を強く望むものであります。
 それでは、新政あいち県議団を代表して質問をしてまいりたいと存じます。
 今年度、我が新政あいち県議団では、新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望をはじめ、県の施策や予算に対する提言を行ってまいりました。
 特に、新型コロナウイルス感染症の克服及びその後の社会、いわゆるポストコロナ社会を見据えた施策の推進について重点的に要望を行ってまいりました。
 県政百五十年の節目の年を迎え、大きく時代が変化する中、今回の代表質問では、こうした要望等を踏まえて、本県を取り巻く諸課題について順次質問をしてまいりたいと思います。  最初に、コロナ禍における地域の医療提供体制の確保についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の第六波では、オミクロン株という強力な感染力を持つ変異株によって一日当たりの新規陽性者数を更新する日々が続くものの、重症病床を利用する患者数はそれほど増加せず、今までとは異なる状況になっています。
 その一方で、地域では発熱による患者が増えており、いわゆる発熱外来に取り組んでいる医療機関において、抗原検査・PCR検査用キットの不足や医療従事者の人員不足により発熱外来の受診ができないという、身近なところで医療提供体制が危機的な状況にあるのではないかと感じるところであります。
 実際に発熱外来をやっている医師にお話をお聞きしますと、通常診療があり、ワクチン接種も対応し、そして発熱外来となりますと時間が足らないのです、既に通常診療を制限して対応していますが、発熱外来の患者さんは感染防止対策が必要で、一人当たりの診療に時間を要するので、一度に多くの患者を診ることは不可能です、また、最近では抗原検査やPCR検査のキットなどの医療資源も足らないし、看護師さんも子供の保育園が休園になり休まざるを得ない状況になったり、家族の濃厚接触者であったりして、医療現場では人手が全く足らないのですと病院内での苦悩を話してくれました。
 医療提供体制の確保というのは、コロナに感染して症状が悪化した場合に入院できる病床の確保だけではなく、県民の皆様の身近な医療機関において通常医療が行われ、ワクチン接種や発熱外来等も含めた対応が円滑に行われて初めて医療提供体制が確保されていると言えるのではないかと思います。
 そこでお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染が始まってから、地域における医療提供体制を確保するため、県はどのように取り組んできたのか。また、今後の地域における医療提供体制の確保についてどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、誰もが活躍できる社会と次代を創る人づくりについてであります。
 まずは、愛知県人権尊重の社会づくり条例の趣旨と今後の取組についてお尋ねをいたします。
 本県ではこれまで、二〇〇一年二月に人権教育・啓発に関する愛知県行動計画を策定し、部落差別をはじめ、女性、高齢者、障害者、外国人など十二の項目を人権の重要課題に位置づけ、人権教育、啓発に関する施策に取り組んでこられました。
 しかし、今もなお様々な人権課題が存在しており、その中の一つにインターネットによる人権侵害があります。
 県では、昨年八月から、新型コロナウイルス感染症、部落差別、外国人、障害者に対する差別的な書き込みを対象としてインターネットモニタリング事業を試行的に実施しておられ、その結果、数多くの差別的な書き込みが報告されていると聞いており、本県においてもインターネット上の人権侵害が深刻な状況にあると言えます。
 こうした中、人権課題に関する現状や課題に対して具体的な対応を検討するため、昨年八月、愛知の人権施策に関する有識者会議が開催されました。会議では、様々な人権課題に対処するために条例制定の必要性があると意見が出され、知事は、昨年の九月議会において包括的な人権条例の制定に向けて検討を進めていくと表明されたところであります。
 その後、条例骨子案を策定し、パブリックコメントが行われたところ、約一か月間で四百六十四名の方から八百二十九件という多くの意見が提出されるなど、県民の皆様が人権に対して大きな関心を持たれていることが改めて確認されました。
 県当局では、こうした有識者会議での議論やパブリックコメントでの意見を踏まえて検討を進めてこられ、今議会に愛知県人権尊重の社会づくり条例案を提出されました。
 この条例案の構成を見ますと、人権尊重の社会づくりに向けて様々な人権課題を対象とした包括的な人権条例となっており、加えて、インターネット上の誹謗中傷の防止等、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消、部落差別の解消、性的指向及び性自認の多様性の理解増進の四つの項目を個別に規定する構成となっております。
 また、この条例案は、日本国憲法や人権関係の法律を踏まえ、人権教育や啓発を通じて、あらゆる人権に関する課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的に掲げており、この条例が人権課題の解消につながることを大いに期待するものであります。
 さらに、条例を制定した上で、その目的を達成していくためには、実効性のある施策を推進していくことが必要であり、県としてどのように取り組んでいくのかが非常に重要であると考えます。
 そこでお尋ねをいたします。
 愛知県人権尊重の社会づくり条例について、人権尊重の社会づくりに向けた包括的な人権条例とするとともに、インターネット上の誹謗中傷の防止等をはじめとする四つの人権課題について個別に規定するその趣旨と、さらに条例を実効性のあるものにするため今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、学校における働き方改革と良好な教育環境の整備についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症が我が国に広まり始めてから二年以上が経過いたしました。その間、県内の小中学校や高等学校など学校現場では、感染防止に細心の注意を払いながら、子供たちの学びを止めないために全力を挙げて取り組んでいることに改めて敬意を表したいと思います。
 そして、その原動力となるのは、日々、子供たちのために奔走している教職員の皆さんの頑張りであります。
 そんな今日の社会にはなくてはならない重要な職であるにもかかわらず、公立学校の教員を目指す若者の数は全国的には減少傾向が続いております。
 これは本県においても同様でありまして、今年度に実施された愛知県の公立学校教員採用選考試験の志願者数は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教諭のいずれも昨年度を下回っており、こうした傾向はここ五年以上にわたって続いております。特に小学校は今年度は志願倍率が二・七倍と三倍を下回り、このままでは採用者の質の確保が懸念をされております。
 こうした状況が続く大きな理由の一つは、教員を取り巻く職場環境の厳しさであります。外国語教育を含む新学習指導要領導入やGIGAスクール構想の推進など、教育内容が年々多様化しているとともに、県民や保護者の皆さんの学校教育に対する期待の高まりにより、先生方の勤務時間は長く、そして、より専門性が求められるものになっています。もはや、全ての期待に対して、先生方の頑張りだけで応えていくことには限界を迎えていると思います。
 国においては、教員の長時間労働の実態を踏まえ、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の改正により、教育職員の業務量の適切な管理に関する指針が示され、二〇二〇年度から勤務時間外の在校等の時間の上限が月四十五時間以内、年間三百六十時間以内とされました。
 こうした指針を定めて取り組んでいくことは大切なことであると思います。しかし、私は、それ以上に、現在、学校現場で教員が抱えている様々な業務を外部人材に委ねていく、アウトソーシングしていくことで、教員が、子供たちに確かな学力を身につけさせ、学びの意欲を高めるという本来業務に専念できるよう教育環境の整備を図っていくことこそ、県民の、保護者の期待に応える今後の学校教育の方向性であると考えます。
 そこでお伺いいたします。
 教員の負担軽減や教育環境の整備を図り、質の高い教育を推進していくため、教育委員会として来年度に向けてどのように取組を進めていくおつもりなのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、安全・安心なあいちに向けてであります。
 まずは、県警察における鉄道の安全対策についてお伺いをいたします。
 近年、各地の鉄道において重大事件が相次ぎ、社会に大きな不安を与えております。
 平成二十七年には、神奈川県内を走行中の東海道新幹線の列車内において、乗客の男がガソリンをまいて放火し、被疑者の男に加えて乗客一名がお亡くなりになったほか、多数の乗客が重軽傷を負うなど、甚大な被害が発生しました。当時、この事件は、連日ニュースや新聞等で報道されるなど、世間でも大きな関心を集め、以後、鉄道の安全について様々な議論や対策が講じられることとなりました。
 しかしながら、その後も平成三十年に再び、神奈川県内を走行中の東海道新幹線の列車内において殺人事件が発生したほか、昨年には、東京都内を走行中の小田急線と京王線の列車内において乗客が無差別に刃物で刺されて多くの負傷者が出たことは記憶に新しいところであり、痛ましい事件が続いております。
 鉄道は、大量性、高速性、定時性に優れた輸送機関であることから、通勤通学や買物などにおいて、子供から高齢者まで広く県民の方々に利用され、生活を支える重要なインフラの一つとなっております。
 また、鉄道駅は、駅ビルなど周辺に商業施設が立ち並んでいるところも多く、鉄道利用者だけでなく、様々な目的で多くの方が往来するところでありますので、安心して利用できるような施設でなければなりません。
 一方、鉄道は、利用者が多く、かつ列車内が密閉された空間となることから、一たび事件が発生すると甚大な被害が及ぶこととなりますし、特に近年は列車内にガソリン等をまいて放火する事件も増えており、その手口が凶暴化していると感じております。
 こうした事態を受け、各鉄道事業者において、国土交通省から公表された方針に基づいて、鉄道の安全を確保するために各種取組が推進されることと思います。県警察においても様々な対策を講じていることと思います。
 現に、私の地元である名古屋市名東区においても、地下鉄の駅で警戒する警察官の姿を目にすることが多くなったと感じておりますし、年始には名古屋駅で公開訓練を実施したとのニュースも目にいたしました。この訓練に、警察本部長自ら陣頭指揮を執り、鉄道の安全に向けた各種対策、取組が推進されていると感じたところであります。
 そこでお伺いをいたします。
 鉄道における重大事件が相次いでいる昨今の情勢を踏まえ、県警察において鉄道の安全対策にどのように取り組まれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、住宅の耐震化への取組についてお伺いをいたします。
 阪神・淡路大震災から、この一月で二十七年が経過をいたしました。近年は、二〇一一年、東日本大震災や二〇一六年の熊本地震など、大きな被害をもたらす巨大地震が続けて発生しており、その都度、地震災害の恐ろしさを痛感しているところであります。
 このような中、本県においては、甚大な被害が想定される南海トラフにおけるマグニチュード八から九クラスの巨大地震が今後三十年以内に七〇%から八〇%の確率で発生すると予測されております。
 去る一月二十二日の未明に日向灘の南海トラフ地震想定震源域で発生した地震は、宮崎県など、震度五強を記録いたしました。マグニチュードは六・六であったため南海トラフ地震臨時情報が発表されることにはなりませんでしたが、これが六・八以上であったら、臨時情報が発表され、調査されるケースであり、南海トラフ巨大地震は決して遠い将来の話ではありません。
 東日本大震災をはるかに上回ると想定される被害を少なくするために、住宅、建築物の耐震化を図ることは喫緊の課題であり、特に住宅の耐震化については、地震による建物の倒壊から生命を守ることは言うまでもなく、避難や救助等の妨げになることを防ぎ、被災後の生活の場を確保していくためにも必要不可欠であります。また、昨今は感染症対策の観点からも自宅での在宅避難が求められるなど、住宅耐震化の重要性がより注目されるところであります。
 さて、本県で二〇二一年三月に策定しました愛知県建築物耐震改修促進計画~あいち建築減災プラン二〇三〇~によりますと、本県の耐震性のない住宅が二〇二〇年度末でいまだに約二十七万戸余り存在していると推定されており、これらの住宅への早急な対策が求められています。
 しかし、本県においては、近年、大規模な地震による被害が発生していないことも危機意識の低下につながっている面があるかもしれませんが、耐震性のない住宅の所有者からは、耐震改修を行わない理由として、費用負担が大きい、古い家にお金をかけたくないといった声も聞こえており、今後一層の住宅耐震化を図っていくため、普及啓発とともに、耐震化に係る費用負担を軽減する対策を図っていくことが必要であると考えます。
 そこでお伺いをいたします。
 住宅の耐震化について、費用負担を軽減する観点から、これまでの実績と、今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、あいちの発展と魅力的な地域づくりについてであります。
 まず、ジブリパーク開園に向けた地元の機運醸成についてお伺いをいたします。
 東京から新幹線を利用してジブリパークを訪れる場合、名古屋駅で地下鉄東山線に乗り換え、さらに、私の地元、藤が丘、藤が丘駅でリニモに乗り換えて愛・地球博記念公園までお越しいただくこととなります。
 二〇二〇年二月に愛知県が発表したジブリパークの年間想定来場者数では、今年秋の三エリア開業時に約百万人の方がジブリパークを訪れると見込まれています。このうち何割の方が東山線とリニモを利用することになるか分かりませんが、愛・地球博記念公園における過去のアンケートの結果等では、リニモなど公共交通機関を利用して公園を訪れた人の割合が約一四%であったとのことであります。よって、少し多めに二〇%で設定しますと、年間約二十万人の乗客人数が増える計算となります。
 地下鉄東山線とリニモにおける主要駅の乗車人数を調べたところ、コロナ禍以前の二〇一九年度の数字で、地下鉄東山線の名古屋駅では約五千百四十四万人、藤が丘駅では約千百二十二万人、また、リニモの藤が丘駅では三百七十万人の方が乗車されておりました。
 したがって、数字上ではそれほど大きな変化が生じるわけではないようですが、現在の藤が丘駅では、朝と晩に通勤や通学で利用する方が大半と想定されますので、今後は平日の昼間にも多くの旅行者の方が利用する駅に変わるということではないかと思います。
 今までとは違い、多くの旅行者の方が利用する駅になるわけですから、鉄道事業者においては、老朽化した駅施設の整備や、人目につく場所の化粧直し、旅行者をお迎えする駅の雰囲気づくりなど、旅行者が快適で心地よく乗り換えられるような空間としていく必要があると感じております。
 また、藤が丘駅では、旅行者が食事や休憩を取るため駅付近をまち歩きするケースも考えられ、地元の方と旅行者が接触する機会がこれまで以上に増えるものと思われます。愛知万博のときのように、言わばまちぐるみで遠方からの旅行者を温かく受け入れるとともに、にぎやかなジブリパークの門前町としての雰囲気の中で、行き帰りのひとときを心地よく過ごしていただくことができるかどうかで、旅行全体の印象、ひいては愛知県に対する印象が大きく違ってくるのではないかと思います。
 それを実現するためにも、沿線地域の自治体や事業者、そして地元の皆様にジブリパークのことを前もって知っていただき、各方面において旅行者を受け入れるための準備を進めていただくことが必要であり、そうした準備期間を念頭に置いて、沿線地域等における機運の醸成を図っていく必要があると考えます。既に藤が丘では、まちづくり協議会で議論が始まっております。
 そこでお伺いをいたします。
 ジブリパークの開園を今年の秋に控える中で、藤が丘をはじめとする沿線地域等において旅行者を受け入れる雰囲気づくりを進めるため、地元の機運醸成をどう図っていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次は、愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の評価と今後の取組についてお伺いをいたします。
 我が国の人口が二〇〇八年をピークに減少を続ける中、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、国をはじめ、都道府県、市町村、それぞれ、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し取組を進めています。
 本県の人口は、二〇一九年度まで増加を維持しており、これが二〇二五年度まで継続するとの推計に基づき、二〇二〇年三月に第二期愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、産業振興や雇用対策、子育て支援、三河山間地域の振興などに取り組んできております。
 しかし、現行戦略の策定後に生じた新型コロナウイルスの感染拡大が人々の生活や地域経済に大きな影響をもたらす中、外国人を含む転入者数が大幅に減少し、本県の人口は、二〇二〇年に県の統計開始以来初めて減少に転じ、二〇二一年は七百五十一万六千人と、戦略の策定時に比べ約三万七千人減少いたしました。しかも、若年層の東京圏への転出超過は依然として続いております。
 一方で、コロナ禍におけるテレワークやワーケーションなど新しい働き方が広く認知され、地方移住への関心が高まっており、東京都の二〇二〇年の転入超過は昨年から半減するなど、東京一極集中にも変化の兆しが生じてきております。
 このように従来の価値観が転換していく中にあっては、こうした変化を的確に捉えて、愛知県に住みたい、住み続けたいと思っていただけるような魅力ある地域づくりを進め、地域に新たな活力を生み出していくことが将来にわたる発展につながっていくと考えます。
 県は、昨年十一月に、有識者等による、まち・ひと・しごと創生総合戦略推進会議を開催し、その進捗状況を検証するとともに、その結果を踏まえ、策定以降の状況変化に対応する総合戦略の改訂作業を進めているとお聞きしております。
 そこでお尋ねいたします。
 県は、第二期総合戦略の進捗状況をどのように評価しておられるのか。また、その評価を踏まえ、今後どのように改訂するのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、行政手続におけるキャッシュレス化についてお尋ねいたします。
 昨年十一月、国におけるデジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に推進するため、デジタル臨時行政調査会が設置をされました。
 このデジタル臨調では、デジタル庁設置でデジタル改革の推進体制が整備されたものの、規制や行政の在り方まで含めた本格的な構造改革をしなければ、デジタル化の恩恵を享受し実感することは困難であるとの認識の下、十二月には、デジタル完結・自動化原則、アジャイルガバナンス原則、官民連携原則、相互運用性確保原則、共通基盤利用原則という五項目のデジタル原則をまとめ、デジタル時代にふさわしい規制、制度へ見直しを行うこととされました。
 行政手続については、オンライン化されていなかった一万八千を超える手続のうち約九八%について、二〇二五年度末までにオンライン化することとされており、この取組を加速化するため、交通反則金やパスポート、車検などの国の行政手続に係る手数料の納付をクレジットカードなどでできるようにする法案が今国会に提出されています。
 本県においても、行政手続のオンライン化は、あいちDX推進プラン二〇二五に基づき取組が進められていると伺っておりますが、利用者の利便性向上のためには、併せてキャッシュレス決済に対応することが不可欠であると考えます。
 一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査によりますと、キャッシュレスの利用意向として、どんなときも、及び、どちらかというとキャッシュレスで支払いたいという回答が半数以上あり、キャッシュレス化へのニーズも非常に高いものと考えられます。
 国の動向や社会におけるキャッシュレス決済のますますの進展を考えると、待ったなしの状況ではないかと考えられます。
 そこでお伺いをいたします。
 県民の利便性向上のため、行政手続におけるキャッシュレス化を速やかに進めるべきと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、持続的な本県産業の振興についてであります。
 まず、本県におけるIT関連企業の集積促進に向けた取組についてお伺いをいたします。
 本県は、製造品出荷額等が四十三年連続で日本一となるなど、我が国のモノづくりをリードしてきましたが、AI、IoTなどデジタル技術の進展や、基幹産業である自動車産業のCASE、MaaSといった新たな潮流に対応していく必要から、本県のモノづくり産業にとって、IT関連企業との取引、連携の重要性が増しています。
 しかしながら、昨年、国が発表した情報通信業基本調査によれば、二〇一九年度における愛知県のIT関連企業は二百十八社と、五年前の調査に比べ十四社増え、増加傾向にあるものの、全国の五割以上、約三千社を占める東京都と比較しますとIT関連企業の集積は低く、この分野では東京一極集中の状況が続いています。
 帝国データバンクの調査によりますと、トヨタ自動車グループの昨年四月時点の下請企業数は全国で四万千四百二十七社、うち東海三県では九千三百九十二社と下請企業の約四分の一が集積をしていますが、都道府県別のトップだった愛知県が東京都に抜かれ二位に後退したとのことであります。
 その要因としては、東京は下請企業の中でも存在感を増してきているソフトウエア開発などサービス業が大幅に増加したことが挙げられています。業種別では最多のソフト受託開発では、システム制御に不可欠な組み込みのソフトウエアやコネクテッド機能といった電動化や自動運転などCASE関連が多く見られ、トヨタ自動車グループにおけるソフト開発の軸足が東京に移っている可能性があると指摘されています。
 このことは、本県におけるIT関連企業の集積の低さが自動車をはじめとする本県モノづくり産業そのものの地盤沈下につながりかねないことを物語っています。
 一方、今般のコロナ禍において、多くの企業でテレワークやリモート会議が促進されるなど、働き方そのものが変化しつつあり、本社機能を含むオフィスを東京から地方へ移転する機運が高まるなど、新たなトレンドも出てきています。
 国においては、東京二十三区から地方へ本社機能を移転する企業に対して税制上の優遇措置等を講じる地方拠点強化税制を設けていますが、令和四年度の税制改正において、その適用期限を二年延長するとともに、IT関連など地方移転のポテンシャルが高い事業者へのインセンティブを高める要件緩和等の制度拡充を行い、東京一極集中の是正に向け、税制面から企業の本社機能移転を後押しすることとしています。
 本県はこれまで、モノづくりを中心とした産業の集積強化や高度化を図り発展を遂げてきましたが、今後は、こうした社会経済情勢や産業構造の変化を踏まえ、モノづくり産業を維持、発展させていくために、IT関連企業の集積促進に力を入れていくべきと考えます。
 そこでお伺いをいたします。
 本県におけるIT関連企業の集積促進に向けどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、資源循環施策の推進についてお伺いをいたします。
 廃棄物の処理については、これまで最終処分場の逼迫などの問題を背景に、家電品や自動車など様々なリサイクルの制度が構築されるとともに、資源回収など住民レベルでの取組、市町村による分別回収やリサイクルの取組、事業者による産業廃棄物削減の取組などにより、3Rの推進が図られてまいりました。特に近年では、従来からの大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムから脱却するため、リサイクルの強化に加え、廃棄物の発生抑制、リデュースや再使用するリユースが重要と言われております。
 身近な例では、スーパー、コンビニなどで配布されるレジ袋について、一昨年七月から法律により有料での提供が義務化されており、無料で配布ができるのは、繰り返し利用できる厚みのあるもの、またはバイオプラスチックを使用した環境に優しいものに限定されております。
 さらに、この四月から施行されるプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律では、3Rの考えからさらに進展し、多様な製品に使用されているプラスチックを資源として捉え、製造から、使用、リサイクル、廃棄に至るまでの各段階に事業者や市町村等が取り組むべき規定が盛り込まれています。
 また、プラスチックに限らず、資源・エネルギー需要の増加や希少資源の枯渇などが世界共通の課題として挙げられており、国際的な目標であるSDGsの中にも、持続可能な生産と消費、つくる責任、つかう責任を掲げてあるなど、限りある資源やエネルギーを有効に活用していくことが求められています。
 本県では、専門的な知識と経験を持つコーディネーターによる相談や先導的リサイクル設備等への補助、そして優れた環境技術や取組を表彰する愛知環境賞などの事業により、新たな循環ビジネスの発掘、事業化から円滑な事業継続まで一貫した支援を行っております。これまで多くの循環ビジネスの創出に力を貸してこられました。
 こうした中、国が一昨年五月に示した循環経済ビジョン二〇二〇では、我が国の3Rの取組で培ってきた強みをグローバル市場で発揮し、資源の効率性、循環性の高いビジネスモデルへの転換を目指すとされていますが、日本一の産業県である本県においては、従来からモノづくりで培われた技術の強みがあり、先進的なリサイクル事業が数多く生み出されていると認識しております。
 このため、県が主体となって働きかけ、先進的な取組や技術を持つ事業者同士が連携することができれば、全国でも初となる画期的なビジネスモデルが本県において実現する可能性が高いと考えられます。
 資源を大切にすることにより、地球環境を健全な状態で将来の世代に引き継いでいくことは極めて重要な課題であり、今こそ大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システムを見直し、資源循環を基調とした社会を構築することが強く求められております。
 そこでお伺いいたします。
 企業の事業活動を後押ししながら環境と経済を好循環させ、廃棄物を限りなく抑制する循環型社会の実現に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 最後の質問となりますが、本県の水産業の振興対策についてお伺いをいたします。
 伊勢湾、三河湾、渥美外海は、古くから魚介類の宝庫として知られており、現在でも、イワシ類を取る船引き網、エビや蟹、貝類を取る底引き網、ノリ養殖など様々な漁業が営まれています。中でも、二〇二〇年の国の統計によりますと、本県はアサリ、クルマエビ、ワタリガニなどが漁獲量全国第一位であり、その他にもシラスやカタクチイワシ、スズキなど全国上位を占める魚の種類がとても多いことに驚かされます。多種多様な水産物を供給する本県の水産業は、豊かな海の恵みを食卓に届けることで県民の豊かな暮らしづくりに重要な役割を果たしています。
 しかしながら、近年は主要な魚種の漁獲量が大きく減少しています。例えば、シャコやカレイ類など内湾の海底付近に生息する魚介類は減少傾向にあり、冬の主要な漁業であるノリ養殖についても年々生産量が低下しています。
 特に、本県の代表的な水産物であるアサリは、十七年連続で漁獲量が全国第一位を誇っているものの、最盛期の二〇〇八年頃、二万トンありましたが、これが二〇二〇年にはその漁獲量の一割程度にまで大きく減っています。
 これらの要因は、地球温暖化による海水温の変化や、沿岸域の埋立てによる干潟、浅場の喪失、夏に起こる海底の貧酸素化などが大きく影響していると考えられています。
 また、近年では、赤潮の発生を抑えるため海をきれいにする取組が進んだ結果、海水中の窒素やリンなどの栄養分が少なくなり、ノリに色落ちが発生したり、魚介類の餌となるプランクトンが不足するなど、海の生産力の低下の要因となっていることが明らかで、このままではさらなる漁獲量の減少が強く懸念されています。
 加えて、新型コロナウイルス感染症の影響による、マダイやヒラメ、トラフグなど高級魚をはじめとする水産物の需要低迷も漁業者や漁業団体に疲弊をもたらしています。
 このように、本県の水産業を取り巻く情勢は非常に厳しいものとなっております。今後、漁業者の経営が立ち行かなくなりますことを大変危惧しておりまして、地元の海の恵みを届ける水産業を守ることは、SDGsや環境負荷の低減に貢献する地産地消の推進につながるものであり、本県水産業を持続的に発展させていくことは県民にとっても重要な課題であります。
 そこでお伺いをいたします。
 このような本県水産業の厳しい状況に対処するため、今後、水産業の振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 以上、新政あいち県議団を代表して、県政各般にわたる様々な課題についてお尋ねをいたしました。
 真摯な御答弁をお願い申し上げまして、質問を終了したいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯知事(大村秀章君)
 新政あいち県議団の富田昭雄団長の代表質問にお答えをいたします。
 その前に、本日のコロナ感染症の新規陽性者、まだ確定、全部出そろっておりませんが、現段階では、県所管分が二千六十七、名古屋市が六百二十二、合わせて二千六百八十九ということでありますので、中核四市を加えますと三千の前半ぐらいということかなと思っております。いずれにいたしましても、一週間前よりも大分減ってきているということでありますが、まだ残念ながら下がり切らないという状況でございます。
 それでは、初めに、コロナ禍における地域の医療提供体制の確保についてお答えをいたします。
 本県における新型コロナウイルス感染症の第六波の状況は、感染力が非常に強いオミクロン株により、一日の新規陽性者数は六千人を超える水準となり、自宅療養者が一時期四万人に迫るなど、地域医療に大きな負荷を与え、大変厳しい状況となっております。
 本県では、発熱患者等が地域の医療機関で診療、検査を受けられる体制を二〇二〇年十月に整備いたしました。当初、千百九十七施設の診療・検査医療機関を指定しておりましたが、県医師会の御協力、さらには感染防止対策に係る設備整備や個人防護具の購入費用を補助することにより千八百六十三施設まで拡充をしてまいりました。
 また、昨年六月には、自宅療養者の体調が悪化した場合、往診、オンライン診療、訪問看護等が受けられる体制を整備しており、現在までに医療機関七百五十一施設、訪問看護ステーション百二施設に対応していただいております。
 地域の医療機関の負担を軽減するため、引き続き県医師会に協力をいただき、診療・検査医療機関、自宅療養者に対応する医療機関を拡充してまいります。
 また、PCR検査能力につきましては、感染の疑われる方を速やかに検査し、適切な医療を受けていただくため、これまで一日当たり約二万二千件だった検査能力を今月には約二万六千件増強し、──これは先週の金曜日、二十五日に増強させていただきました──約四万八千件とすることでPCR検査体制を拡充してまいりました。
 さらに、重症化を防ぐ効果がある経口治療薬、ラゲブリオにつきまして、医療機関からの処方箋に対応し、患者の自宅等へ無料で配送を行う在庫配備薬局三百四十六施設を整備いたしております。
 また、今月新たに承認された経口治療薬、パキロビッドについては、昨日、試験運用期間が終了したことから、今後円滑な供給体制の整備に取り組んでまいります。
 こうした地域における医療提供体制の拡充により、県民の皆様の命と健康を全力で守ってまいります。
 次に、愛知県人権尊重の社会づくり条例の趣旨と今後の取組についてお答えをいたします。
 本県ではこれまで、人権教育・啓発に関する愛知県行動計画に基づいて、人権教育、啓発に関する施策を推進してまいりました。
 しかしながら、今もなお様々な人権課題が存在し、最近では新型コロナウイルスに関連したインターネット上の誹謗中傷などの問題も発生しております。
 また、二〇一六年には、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、部落差別の解消の推進に関する法律等が施行され、さらに、国会で性的少数者への理解増進のための法律の整備に向けて調整が進められるなど、人権尊重の機運が一段と高まっております。
 こうしたことから、今回、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とした包括的な人権条例として条例案を取りまとめ、さらにインターネット上の誹謗中傷等、本邦外出身者に対する不当な差別的言動、部落差別、性的指向及び性自認の多様性に関する四つの人権課題について個別に規定することといたしました。
 そして、来年度は、この条例を実効性のあるものとするため、県東大手庁舎にあいち人権センター(仮称)を設置いたします。
 センターでは、現在、試行的に実施しているインターネットモニタリング事業を本格実施するとともに、インターネット上の誹謗中傷をはじめとする様々な人権問題に対応する総合的な相談窓口を新たに設けることといたします。
 さらに、人権啓発イベントを開催するなど、県民の皆様に広く条例の趣旨や人権尊重の理念を普及啓発してまいります。
 こうした施策を総合的かつ計画的に推進することにより、この条例を実効性あるものとし、あらゆる人権課題の解消に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 続いて、住宅の耐震化への取組についてであります。
 南海トラフ巨大地震などの大地震から人命を守るためには、住宅の耐震化を進めることが重要であり、その方策の一つとして費用負担を軽減することが必要であると認識しております。
 そこで、本県では、二〇〇二年度に木造住宅の無料の耐震診断制度をはじめ、また、二〇〇三年度からは耐震改修費に対する補助制度を創設することにより住宅の耐震化に取り組んでまいりました。
 さらに、耐震改修費に対する補助制度は、二〇〇七年度には木造住宅に加え鉄骨造等の非木造住宅を対象に追加し、二〇一一年度と二〇一八年度には補助の上限額を増額するとともに、補助率を上げるなどの拡充をしてきております。
 こうした取組により、二〇二〇年度末までに十五万戸余の耐震診断と一万七千戸余の耐震改修の補助を行ってきており、この数字は、耐震診断では全国一位、耐震改修では全国二位となっております。
 また、様々な事情で耐震化が難しい住宅もあることから、これらの住宅に対しては、二〇一三年度に段階的な改修や耐震シェルター整備に対する補助制度を、二〇一七年度には木造戸建て住宅の除却に対する補助制度を創設しております。
 今後につきましては、来年度から除却に対する補助対象について、従来の戸建てに加えて長屋住宅を追加するなど、所有者の事情に応じて活用しやすい補助制度となるよう引き続き改善を図ってまいります。
 住宅の耐震化には、何より所有者等の意識の向上が不可欠でありますので、住宅の耐震化の必要性の啓発に一層力を入れるなど、市町村や建築関係団体と連携してしっかりと取り組んでまいります。
 次に、ジブリパーク開園に向けた地元の機運醸成についてのお尋ねであります。
 ジブリパークの全五エリアのうち、青春の丘、ジブリの大倉庫、どんどこ森の三エリアは、今年の四月末までに建築・造園工事を完了して、その後、建物内の空間を演出する演示工事を進めた上で、いよいよ十一月一日に開園いたします。
 開園に向けた沿線地域等の魅力向上、活性化や、ジブリパークの玄関口となる藤が丘駅等のにぎわい創出については、旅行者の皆様にジブリパークまでの往復経路において楽しく心地よい気持ちで過ごしていただく上で重要な要素であると考えており、公園周辺の五市と二鉄道事業者で構成するジブリパーク構想地域連携協議会を中心に取組の検討を進めているところであります。
 具体的には、市町村及び交通事業者の施設や広報媒体において、ジブリパークに関する情報を積極的に提供していただくとともに、市町村の各種施策と連携して、おもてなしの雰囲気づくりを醸成してまいりたいと考えております。
 また、藤が丘駅、八草駅、名古屋駅、セントレアといった交通アクセス上の結節点において、交通事業者の協力を得ながら、ジブリパークをイメージした歓迎装飾を実施することで、遠方から来県された皆様に駅に降り立った瞬間からジブリパークのある愛知に来たんだというわくわく感を感じていただけるようにしてまいりたいと考えております。
 県内市町村や交通事業者とうまく連携協力しながら、遠方から訪れる旅行者を迎え入れるムードを地域全体で醸成し、おもてなしの雰囲気の中でジブリパークの開園を迎えられるよう取り組んでまいります。
 続いて、愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の評価と今後の取組についてであります。
 二〇二〇年三月に策定した第二期総合戦略について、今年度行った進捗状況の検証結果によりますと、数値目標や重要業績評価指標の約三分の二は、計画を上回る、またはおおむね計画どおりでありました。
 しかしながら、人と人との交流を前提とする項目を中心に計画を下回るものがあることから、新型コロナウイルスの感染拡大による外出や行催事の減少などが総合戦略の進捗の一部に影響を及ぼしているものと考えております。
 一方、感染症の広がりを契機として、テレワークやキャッシュレス決済の普及、地方移住への関心の高まりなど、人々の意識、行動に大きな変化が生じております。
 そこで、現行の総合戦略策定以降に生じたこれらの状況変化に対応するため、新たにウイズコロナ、アフターコロナを見据えた取組を推進する視点を加え、総合戦略の見直しを行い、年度内に改訂をしてまいります。
 改訂に当たっては、働きやすい環境づくりなどにより、本県への新たな人の流れを創出するヒューマン、企業のDX推進支援やデジタル人材の育成を行うデジタル、再生可能エネルギーの導入などによりカーボンニュートラルの実現を目指すグリーンの三つをキーワードとする取組とともに、スタートアップを起爆剤としたイノベーションの創出など、さらなる、さらなる飛躍につながる愛知ならではの取組を追加、充実いたします。
 もう一度申し上げます。ヒューマン、デジタル、グリーンをキーワードとして、それからスタートアップを起爆剤としてイノベーションの創出ということで、さらなる飛躍につながる愛知ならではの取組を追加、充実ということであります。
 今後も、日本一元気で、すべての人が輝く、住みやすい愛知の実現を目指し、東京一極集中にストップをかけ、愛知が日本の発展をリードしていけるよう、地方創生の推進に全力で取り組んでまいります。
 次に、行政手続におけるキャッシュレス化についてお答えをいたします。
 本県では、あいちDX推進プラン二〇二五に基づいて、二〇二五年度までにオンライン化可能な行政手続の一〇〇%オンライン化を目指し取組を進めているところですが、オンライン化に向けては、キャッシュレス決済への対応が不可欠であります。
 そこで、今年度、私を本部長とする愛知県DX推進本部において、収納事務のキャッシュレス化をデジタル化・DX推進に係る重点項目の一つとして決定するとともに、関係課によるプロジェクトチーム等において検討を進めてまいりました。
 その結果、まずはインターネットを通じて、二十四時間三百六十五日、申請、届出等の手続が可能なあいち電子申請・届出システムについて、オンライン申請に合わせたキャッシュレス決済に対応することといたしました。
 具体的には、使用料や手数料をはじめとした金銭納付を対象とし、インターネットバンキングやATMでの払込みが可能となるペイジーをはじめ、QRコードやバーコードによるコード決済、クレジットカード、電子マネーの四種類の決済手段による納付を可能としてまいります。
 さらに、現在、金融機関の窓口において納入通知書を用いて行っている金銭納付についても、インターネットバンキング等による払込みを可能としてまいります。
 これらのキャッシュレス対応につきましては、引き続き具体的な事務処理等についての検討を進めるとともに、二〇二二年度中に必要なシステム改修を実施し、二〇二三年四月から実施をしてまいります。
 キャッシュレス決済への対応は、デジタル化の進展に伴いますます必要性が高まってくると考えられますので、引き続き、行政手続におけるキャッシュレス化を速やかに進めてまいります。
 次に、本県におけるIT関連企業の集積促進に向けた取組についてお答えをいたします。
 世界規模の急速なデジタル化は、主力の自動車産業のCASE、MaaS対応など、本県が誇るモノづくり産業に大変革を迫っております。
 今やモノづくりサプライチェーンの主要な一角を占めるに至ったIT関連企業の本県での集積を高め、本県の優れたモノづくり技術とデジタル技術の融合を促して、新たなイノベーションの誘発から本県産業の成長拡大への好循環を形成していくことが喫緊の課題となっております。
 デジタル・IT分野で最先端技術を開発、提供するスタートアップ・エコシステムを本県に形成することは、まさにその柱となる取組でありまして、活動拠点となるオフィスを提供するなど、スタートアップの創出、育成、国内外からの誘引を図っているところであります。
 また、昨年十一月には、産学行政によるあいち産業DX推進コンソーシアムを設立し、地域を挙げてデジタル化、DXを加速するため、IT関連企業と県内モノづくり企業等とのマッチングなどにも取り組むこととしております。
 さらに、首都圏等のIT関連企業による本県への立地インセンティブを一層強化するため、来年度から産業空洞化対策減税基金に基づく立地補助金の新たな支援メニューとして、本県に初めてオフィスを開設する際の賃借料など運営経費やIT技術者の雇用を助成することといたしました。
 東京で開催するセミナーでのトップセールスなどを通じて、新たな企業誘致施策や多様なモノづくり企業が集まるマーケットとしての魅力など、本県の立地環境の優位性を積極的にPRしてまいります。
 こうした総合的な施策展開によりIT関連企業の集積形成を促して、モノづくり企業とのイノベーション創発効果により、本県産業の競争力強化、産業首都あいちの実現を図ってまいります。
 続いて、資源循環施策の推進についてであります。
 本県は日本一の産業県であるからこそ、環境分野でもトップランナーであるべきという考えの下、これまで持続可能な社会の実現に向けた資源循環の取組を推進してまいりました。
 とりわけ、循環ビジネスの振興については、先導的、独創的なリサイクル、排出抑制の設備への補助や食品廃棄物などのバイオマス資源の地域内における循環利用など、3Rを核とした取組を支援してきました。
 こうした中で、プラスチックごみ問題や希少資源の枯渇など新たな課題を解決しながら、資源循環の取組を一層加速していくため、来月策定する予定のあいちサーキュラーエコノミー推進プランでは、3Rの取組に加えて、製品のライフサイクル全体を通して、新たな資源の投入量と廃棄物の発生量を限りなく小さくする経済システム、サーキュラーエコノミーへの転換を進めることといたしております。
 具体的には、プラスチックや太陽光パネルなどの循環利用を図る本県独自のリーディングモデルを示すとともに、事業者、大学、有識者、市町村等で構成をするプロジェクトチームを設立し、モデルの事業化を進めてまいります。
 また、民間活力によるモデルの展開を図るため、事業者への補助メニューにサーキュラーエコノミーに資する製造設備を追加し、支援をしてまいります。
 サーキュラーエコノミーは、企業の持続可能性を高める事業活動であるだけでなく、コストの削減、技術、サービスのイノベーションの加速、新たな循環ビジネスの創出などの経済効果も期待されており、高度なリサイクル技術を有する本県の事業者にとっては大きなビジネスチャンスとなるものであります。
 こうした取組を後押しすることにより、環境と経済が好循環する循環型社会の形成を推進してまいります。
 私からの最後の答弁になりますが、本県の水産業の振興対策についてお答えをいたします。
 本県水産業を取り巻く厳しい情勢に対処するため、県では、愛知県漁業振興計画を昨年三月に策定いたしました。この計画では、二〇二一年度からの十年間に、豊かな水産資源を育む海づくり、漁業者が儲かる経営体づくり、未来につながる水産業の構造改革の三つを柱に様々な施策に取り組んでいくこととしております。
 今年度は、貝類増殖場の造成面積の拡大、カキやアサリの養殖技術の導入やノリ養殖の食害対策、製氷施設などの整備に対する支援を行うとともに、最近の燃油高騰に苦しむ漁業者に対して十一月補正予算により燃油購入費を支援するなど、様々な取組を進めてまいりました。
 来年度は漁業生産力のさらなる向上を図ることとしており、干潟、浅場の造成では、昨年度、私が国土交通省に対してダムや河川に堆積した砂の有効活用の働きかけをさせていただきましたが、その結果、国との連携が実現をいたしましたので、これらの砂を活用して、造成面積をこれまでの五ヘクタールから十ヘクタールに倍増してまいります。もう既に上流の河川、ダムのほうからダンプで三河湾の港のほうには運んで積んでいるところでございます。これの造成面積、干潟、浅場の造成面積を五ヘクタールから十ヘクタールに倍増いたします。  また、稚魚を放流して資源増大を図る栽培漁業では、県の栽培漁業センターにおきまして、クルマエビなどの生産数を増やすとともに、ハマグリなどを新たに生産するための施設整備を進めてまいります。
 さらに、海の栄養塩不足への対応として、三河湾で行っている下水道放流水のリン濃度を増加させる試験運転では、放流口に近いほどアサリの身入りやノリの品質が良好となる効果が認められることから、この取組を継続するとともに、漁業生産に必要な栄養塩濃度を明らかにして、豊かな海の実現を目指してまいります。この点については、関連漁業者の期待も非常に大きいということでありますので、引き続きこれをさらに続けてまいりたいと思っております。
 今後とも、将来に向けて本県水産業が持続的に発展していくよう、あわせて豊かな海の実現を目指して、しっかりと取り組んでまいります。
 以上、御答弁申し上げました。

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