令和4年経済労働委員会 2023年10月4日
【富田昭雄委員】
自動運転の社会実装を見据えた実証実験を行ったと聞くが、その内容を伺う。
【次世代産業室長】
今回の自動運転の実証実験はイノベーション創出に向けた自動運転車の活用をテーマとして、本年9月1日から1か月間、名古屋駅南から栄南地区を東西に結ぶ三蔵通を中心として実施した。事業受託者については、高速バス事業者であるWILLER株式会社を幹事会社とし、名鉄バスやSTATION Ai株式会社などの7社1大学で構成されている。車両については、NAVYA社のハンドル、アクセル及びブレーキがない自動運転専用の小型バスを使用した。
なお、今回の実証実験は、交通量の多い都心で行うとともに一般の人にも乗車してもらい、継続的に自動運転車の運行を行うという全国的に類を見ない取組であった。さらに、車内の窓ガラスを映像ディスプレイとして活用し、スタートアップなどのビジネス利用者が移動しながらオンラインミーティングや商談などに活用する検証を行った。動く会議室としても自動運転車を活用することで、自動走行技術の向上のみならず、移動時間や移動空間の付加価値向上も追求していきたいと考えている。
【富田昭雄委員】
動く会議室など付加価値をつけた実証実験はよいと思う。今回の実証実験の目的を伺う。
【次世代産業室長】
今回の都心での実証実験は、2024年にオープンするSTATION Aiと名古屋駅を自動運転車で結ぶことを目標としており、STATION Aiの利用者や訪問者が、移動時間もクリエイティブに活用できるようなモビリティーサービスの在り方を検討していきたいと考えている。
テック企業やスタートアップが有する様々な先端技術と交通事業者の運行ノウハウなどを結集することで、利便性が高く、安心・安全で社会的受容性の高い自動運転のサービスを構築していきたいと考えている。
【富田昭雄委員】
STATION Aiができる鶴舞地区へ人を運ぶということだが、2024年には運転手がいない状態での走行となるのか。
【次世代産業室長】
そのときの法制度の状況にもよるが、都心を走るため保安員などの同乗も想定している。
【富田昭雄委員】
STATION Aiと絡めて様々な技術を駆使することはよいが、自動運転で期待することは人手不足の解消である。そういう意味でいえば、交通量の多い場所では難しいかもしれないが、配達員が少ない場所を定期便が走ることが社会実装としては望ましい。また、車内の窓ガラスを映像ディスプレイとして活用することはSTATION Aiを利用する人にとってはよいと思うが、普通のサラリーマンにとっては関係ない。完全な無人化に向けた課題を伺う。
【次世代産業室長】
無人化に向けた課題は様々であるが、やはり都心では交通量が非常に多く、何かあったときに大きな問題になるため、慎重を期さなければならない。
また、社会的受容性の問題もある。アメリカや中国では、実験した結果を次の糧にしようという文化があるが、日本は安心・安全を第一に考えるところがある。そのような文化的土壌も踏まえながら、安心・安全を重視した形で進めていかなければならないと考えている。
【富田昭雄委員】
これから人が少なくなっていく中で、無人で自動運転が安心・安全に行うことができれば、相当便利になると思う。様々な課題はあると思うが、前向きに取り組んでほしい。