令和5年2月定例会(第3号) 2023年3月3日


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◯九十番(富田昭雄君)
 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、順次質問してまいります。
 私の今回の質問は、教育問題について、高齢者の介護について、そして救急搬送についてお聞きいたします。
 コロナ禍にあって、社会活動に様々に制約があり、大きな見直しが余儀なくされました。終息したとしても、元のような形に戻らないことも多く、時代の転換期に一気に変化の速度が上がったものと思われます。その社会の変化がどのように対応していくかという視点でお聞きしたいと思います。
 まずは、国の根幹であります教育問題についてお聞きいたします。
 学校現場でもコロナウイルス感染拡大の影響は大きく、授業もリモートで行われ、自習も専用アプリを使用するなどデジタル化が進み、大きな変化がありました。これから未来を生きる子供たちが必要な力を身につけるためにどのような教育が必要かということであります。
 そんな中、愛知県教育委員会も、これからの時代を見据えて学校改革、制度改革に取り組んでおられます。
 今年度から高校入試の在り方が大きく見直されたところであります。また、県立高校の再編計画も取りまとめられました。
 課題はというと、全日制の計画進学率が九三%から九一・五%に変更されました。このことによって、実績進学率に近づかなくてはならないのに、結果として全日制の実績進学率は八八%まで下がり全国最下位のまま、計画進学率は現在は見込み率と言っているようですが、これとの乖離は開いたままであります。
 欠員についても、私学は一時二千人を超えたものの、昨年は六十八人と二桁まで減り、その分、公立では三桁だった数字が二〇二一年には二千六百人を超えています。公立高校がいかに魅力を感じさせなくなったかという表れでもあります。
 実績進学率が昨年より一・四%下がった分を通信制が伸ばしています。もし秋の段階で全日制を希望している生徒が行く高校がないからといって安易な発想で通信制の学校を選んだとしても、進学してから先々続かないのではないかと危惧するわけであります。
 そこで始まった高校改革、魅力ある学校にするためにどのようにするかが問われています。特色選抜の実施、県立通信制の拡大、昼間定時制の新設など、アップデートプランとして新しい取組が始まっていますが、私学に対抗し欠員を減らすまでにまだ至っていないのです。
 最近の傾向ですが、公立高校はグループ選抜で二校を受験できるわけですが、一高しか受験しない生徒が増え、第一次希望が受からなかったら私学へ行く傾向が顕著であります。第二志望には願書を出さない単願が増えているということであります。これではグループ選抜の意味がない。また、欠員の多いところは、このままでは先々新たな再編計画が必要になるでしょう。
 欠員を減らし、魅力ある新しいタイプの高校づくりは、現在の成績にこだわらず、自分の個性を最大限発揮できる多様性のある生徒を受け入れるような高校が必要です。
 全国では、既に新たな取組が始まっています。特に広島県では大変貌を遂げていると言われています。公立初のイエナプラン教育校や商業高校のビジネス探求プログラム導入校や、内申書をなくした入試改革、ダイナミックな変化を広島県教育委員会が牽引していると言われています。特に積極的に取組を進めているイエナプラン教育、ドイツ発祥でオランダで広まった一人一人尊重しながら自立と共生を学ぶ教育だそうです。既に名古屋市の小学校でも始まっており、主体的、協働的に学ぶ手法やコンセプトは文部科学省の令和の日本型教育にも掲げられています。画一的な教育では解決できない課題があると認識した上で、指導や学習の個別化に取り組んでいます。
 そこでお聞きします。
 現状の課題である欠員を減らすなど県立高校の学校改革を進め、魅力ある学校にするためにどのような取組をするのか、教育長の御所見をお聞きいたします。
 次に、改革の目玉である中高一貫教育についてお聞きいたします。
 愛知県では、中学校と高校を接続した併設型中高一貫教育については、二〇一五年三月に策定した県立高等学校教育推進計画においては研究するというだけで、この段階では具体的な進捗はなかったわけでありますが、二〇一七年度から県立高校の欠員が徐々に増加し、それまでとは県立高校を取り巻く状況が大きく変わり、さらに、二〇三五年には中学校の卒業見込み者が七万から六万人を割る人数に減少することが見込まれるなど、導入への議論が大きく前進したわけです。
 そこで、県立高等学校再編将来構想を策定し、その議論の中で併設型の中高一貫教育について具体的に導入の可能性を検討したと経緯を聞いています。その後、地域教育関係者からも一定の理解が得られたので、二〇二二年四月に探求型学習を重視するタイプの第一次導入校を決め、明和、津島、半田、刈谷四校を発表されたわけであります。この併設型中高一貫教育の設置は全国的に四十二件目の導入で、後発であります。早くからの導入した先進的な事例を研究する必要があります。
 そこで私は、熊本県の県立宇土高校を視察してまいりました。県立宇土高校は、一九二〇年に開校した百年を超える伝統校であります。併設型中高一貫教育を十五年前に導入しています。熊本県は県内を八学区から三学区に再編し、その各学区に一校だけ中高一貫校を設置し、それぞれの学校が特色のある取組をしています。八学区から三学区に再編されたことで、広範囲なところから生徒を募集できるようになりました。そのことで優秀な生徒を集め、海外の大学に行く生徒を輩出するまでになったと、地域の学力の底上げにもなったと導入の成果をお話しいただきました。
 また、たまたま視察に行った日程で宇土高校の生徒の皆様は、長崎の無人島に米と水のみを持って合宿をするサバイバル経験をいたしておりました。
 このように、それぞれの学校が特色のある取組を行っています。中高一貫校を導入するに当たって、魅力ある学校づくりを併せて考えていけるかが問われていると思います。先進的な導入県から学ぶに当たって、幾つかの課題があります。
 一つ目は、小学校からのお受験であります。高校入試が中学入試になっただけで、競争が激化することが予測されています。名古屋市では、学習塾が特別コースも設置し、中高一貫教育校入学の傾向と対策が始まっており、保護者向けの説明会を実施しようとしています。
 二つ目は、教員の確保であります。中高一貫教育校に優秀な先生を集めることは他にも大きな負荷がかかるとともに、中高の交流人事など、全体のバランスが保てるか危惧するところであります。
 三つ目は費用の問題でありまして、国際バカロレアは、教員や英語講師の確保、本部の登録料など、生徒一人当たり経費が二百万ほどかかると言われておりました。県立という意味で公平性が担保できるか心配でありますが、国際バカロレアにはある程度受益者負担をする県もあるようで、県立として費用対効果を考え、考慮していかなければなりません。
 ぜひ、導入するに当たっての詳細な実施計画を立案し、効率よく進めてほしいものです。魅力ある学校づくりのために、人も費用も大量に投入するわけであります。ぜひ中高一貫教育校の導入を成功させてほしいものと願うばかりであります。
 最近、熊本県の宇土高校は、入試の倍率が低下傾向にあり、やはり長期的に見ると、高校受験がなく、六年間もの間どのようなカリキュラムで学びを進めていくか難しい問題でありまして、まさに問われているところと思います。
 そこでお伺いいたします。
 中高一貫教育を導入することでどのような効果があり、県立高校全体の底上げにつながるのか。また、どのように中高一貫教育を成功に導いていくのか、お聞かせください。  次に、外国をルーツとした子供たちの教育環境についてお聞きいたします。
 二〇一九年、外国人への日本語充実を国や自治体の責務とする日本語教育推進法が成立をいたしました。まさに多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現を目的としています。
 愛知県内の外国人児童生徒で日本語指導が必要とされているのは一万人を超え、全国でも最も多く、二位の神奈川県の二倍以上と言われています。昨年十一月には義務教育を修了できなかった外国人の子供たちが日本語を基礎から学ぶ夜間中学校を二〇二五年に豊橋工科高校に設置する方針を表明されましたが、現在、愛知県では、公益法人が運営する中学夜間学級があるものの、夜間中学はゼロであります。
 文部科学省は、都道府県及び政令指定都市で少なくとも一校の設置を目的とする方針で、既に東京では八校、大阪では十一校など、全校で十五都道府県に四十校あります。今後は名古屋市をはじめ、市町村に夜間中学校の設置を促すべきであると思います。
 せっかく高校に入学しても、言葉が障害となって高校を中退していく、日本語が話せないため勉強についていけなくなったり人間関係がうまくいかなかったりすることが大きな要因だと考えられています。
 また、愛知県の全日制の公立高校で外国人生徒選抜入試が実施されている高校は現在十二校で、名古屋市内では名古屋南高校と中川商業高校の二校だけであります。そのために、本来学力が十分あるのに学力レベルや学びたい分野がマッチせず、結果として昼間定時制高校に進学せざるを得ないといった状況もあります。
 また、昼間働きながら夜間定時制に通う外国人生徒も多い。愛知県には夜間定時制は二十八校ありますが、外国人生徒は増加傾向にあると聞いております。外国人生徒等選抜入試を実施する公立高校が大幅に増えることが望ましいと思いますが、多くの全日制公立高校で日本人生徒が外国をルーツとした生徒と共に学び学校生活を過ごす経験は、将来共生社会の担い手、またグローバル化する世界で活躍する人材として育っていく上に極めて有益なものではないかと思います。
 そこでお聞きいたします。
 外国をルーツとした子供たち、特に未就学や学齢超過の方への日本語学習支援、進学相談、教科学習への支援を今後どのように取り組んでいくのかお聞きいたします。
 先日、私の友人から連絡があり、外国人の子供たちに日本語学習支援を行っている団体で日本語を教えるボランティアをしているが、今年になって生徒が増加している、一度現場を見てほしいという依頼があり、視察してまいりました。
 そこでは、三十人ほどの外国人の子供たちが日本語を熱心に学んでおられました。今年になって、コロナ禍でも外国から来て日本で働く場所が確保されており、子供たちを日本に呼び寄せる外国人の親が増えたようです。それで生徒が増え、対応に苦慮しているということでありました。
 特に学齢超過者といって、義務教育の対象年齢を超えた子供たちで、日本語が全く分からない子供たちの対応です。このような学齢超過者の子供をめぐる問題は、日本語の教育環境です。高校は専門的な教科を学ぶ場であって、専門的な日本語教育は十分に行えていないこと、また高校の先生方は日本語教育についてのノウハウがあまりないという面もあります。その点、地域日本語教室はボランティアの方々も多くいて、日本語を教える役割を担っていますが、財政的な面からも十分な教育を提供できないとのことです。高校側は日本語を地域日本語教室で教えてほしいと考えているので、外国人の子供たちの日本語教育の環境は高校と地域日本語教室の間で曖昧な状況であり、誰にも受け止められていないという現実です。  地域日本語教室が十分な教育を提供できない要因は財政的な面が大きく、資金を確保できれば専門的な知識を持った講師を雇うことができるので、より質の高い教育を提供できます。行政が中心となって、早く子供たちが日本語を学ぶことができる環境を整備することが急務であると考えます。
 そこでお調べしてみますと、県内には多くの地域日本語教室がありますが、教室はNPO等が運営しており、日本語の指導ボランティアが中心となって担っています。また、地域日本語教室は日本語学習だけではなく、悩み事など気軽に相談できる居場所であり、地域住民との交流、生活には必要な情報、社会性などを学ぶ場としても重要な役割を担っています。しかし、教室に通う子供たちが増加し、人材や資金の確保などに苦慮しているNPOも少なくないと聞いています。
 そこでお伺いいたします。
 外国にルーツのある子供たちの居場所づくりや多文化共生社会の実現に向け、今後どのように地域日本語教室の支援に取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
 二番目の質問は、高齢者の介護についてであります。
 介護施設もコロナ禍では、利用者、スタッフも感染拡大の大変な状況の中、人手不足になり、人のやりくりをしても大きな影響を受けた業界であります。
 日本の社会が抱える二〇二五年問題が近づいています。これは、第一次ベビーブームに生まれた団塊世代が全員七十五歳以上になる年であります。二〇二五年問題は約八百万人の人口を有するこの世代が後期高齢者になり、二〇二五年には後期高齢者の人口が約二千百八十万人に達し、日本は超高齢者社会を迎えることで、日本社会全体に様々な影響が生じると言われています。高齢者の人口増加と労働者人口の減少によって、様々な業界での人材不足や医療分野の環境整備の問題、医療費の増加、そして現役世代が負担する社会保障費の増加といった課題が生まれると指摘されています。
 二〇二五年問題の影響を最も大きく受ける業界が介護業界です。高齢を迎え、介護サービスを利用する人たちが増えるため、介護施設や介護人材が不足すると見込まれています。
 愛知県では、介護事業所で働く介護職員について、二〇二五年には一万三千人余り、二〇四〇年には三万四千人余りが不足すると推計されています。
 そこで、国も待遇改善施策を進めています。給与をアップする介護職員等特定処遇改善加算、具体的には勤続十年以上の介護福祉士の処遇に関して、月八万円もしくは年収四百四十万までの賃金のアップを行うルールを設けるなど、経験や技能のある職員に重点が置かれて加算されます。他の一般職員も月額〇・六万円から二・四万円程度給与改善を行ってきました。経験やスキルのある介護職員を中心に処遇改善することで、介護の現場への人材を定着させるのが狙いです。
 また、介護職員一人当たりの負担を減らす取組も必要です。ICTや介護ロボット、センサー、介護をサポートするパワースーツなど、テクノロジーの活用で介護現場の業務の効率化が期待できます。さらに、外国人人材の積極的な活用も人材不足の対処法の一つであります。入国管理法の改正で新たな在留資格が制定され、介護業界にとってはさらに外国人人材を活用しやすい環境が整備されています。
 介護業界は離職率も高いので、待遇の改善、業務の効率化、人間関係の相談窓口など、働きやすい職場づくりに努めなければなりません。名古屋市も二〇二五年で五千人、二〇四〇年で一万三千人の介護職員が不足する可能性があると介護施設の人材不足を予測し、対策として介護職員の奨学金の返済を補助する方針を固めました。
 そこでお聞きいたします。
 今後介護業界の人手不足をどのように解消し、超高齢化社会に対応していくのか。また、外国人人材の受入れ環境整備はどのようにされるのかお聞きいたします。そして、もし人材が確保できなかった場合、どのようなことが対策として考えられるのか、県当局のお考えをお聞きいたします。
 三番目の質問は、救急搬送についてであります。
 救急車の適正利用について、災害時における傷病者の搬送に関する民間搬送事業者との連携についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、感染した患者をどのように病院に搬送するのか問題になりました。初期の頃は保健所の職員の方が対応したりしていましたが、緊急性のない陽性患者の搬送を民間業者に任せたことで、救命救急の初期対応である救命搬送の業務の維持、確保ができたと言われています。民間搬送事業者の活用が多くなり、民間搬送車の認知度も上がったのではないかと思います。これはまさにコロナ禍が与えた大きな変化でありますが、このことは大規模災害にも起こり得る事態であり、民間の患者搬送事業者もDMATと同様に災害対策計画に盛り込むことは非常に有効だと考えます。
 今回のコロナ陽性患者を搬送した民間事業者は、AEDはもちろんのこと、医療用酸素を満タンにしている営業車両であることから、災害など緊急時の対応が可能です。全国の救急出動件数は二〇一〇年から二〇二〇年までの十年間で八・六%増加しています。この間、救急隊は増加していますが、救急隊一隊当たりの出動件数は改善されていません。救急車一台当たり年間一億円と見込まれる運用経費がネックとなり、救急需要の増加に応じて救急車の増加は容易でないことが分かります。
 また、救急車は緊急性の高い事案に優先的に投入することで最大の効果を得るということができるのでありますが、二〇二〇年に救急搬送された患者のうち四五・六%が軽症であり、本来であれば救急車による搬送を必要としない人も多く含まれています。
 アメリカでは、傷病者の重要度、緊急度に応じて無料の救急車と有料の民間救急車が搬送を分担しています。このことは、日本において、超高齢化社会になり、救急車の出動件数が過去最多を更新する中、今後の救急搬送がどうあるべきか、大きな研究課題であると思います。
 救急車の適正利用を考える中、救急車を呼ぶかどうかを迷ったら画面上の症状を選択すると緊急度合いの目安が分かる消防庁のアプリQ助や#七一一九に電話すると医師や看護師が救急車を呼べるか助言をしてくれる仕組みもあるようです。国は導入を促進していますが、財源的な問題もあり、東京都や岐阜市など十九地域にとどまると言っております。出動件数の抑制効果は実証済みだと言われています。
 そこでお聞きいたします。
 救急搬送の件数が過去最多を更新する中、救急車の適正利用が問われています。適正化を図るために軽症者の出動件数を抑制する取組について、県当局の見解をお聞きいたします。  次に、災害時はどうかということであります。
 今後、南海トラフ地震が三十年以内に発生する確率が七〇%と高い数字で予測されています。南海トラフ地震で考えてみますと、広範囲で強い揺れと高い津波が発生し、都市機能は壊滅的な被害が懸念されています。
 地震が発生すれば、地域の医療機関は多くの傷病者であふれかえります。愛知県が実施した調査で、被害予想調査では、被災市町村での対応が難しい患者数は、入院が六千三百人、外来が五千百人と想定されています。これらの患者は、愛知県が豊山町に設置するSCUを通じて航空機により広域搬送されるか、または救急車両によって都道府県を越えた広域搬送をされることになりますが、愛知県内の消防局、本部の救急車は合わせても二百八十九台しかありません。地域住民の救急要請にも十分に応えられないだろうと思います。愛知県内の民間の患者搬送事業者の認定車両は百台を数え、災害時には大きな戦力になり得ると思います。
 東日本大震災では、救急車が不足した教訓もあるわけであります。十分に今から備えていかなければなりません。先般、名古屋市は患者等搬送事業者との災害時の搬送について委託する協定書を締結したところでありますが、それは東京、大阪、札幌に続き四例目であります。まだまだ多くありませんが、都道府県が中心となって協定締結の環境づくりを進めることが期待されています。
 災害の発生時には、多くの傷病者への対応、とりわけ災害拠点病院への搬送などの対策が必要となります。市町村における救急搬送の負担を少しでも軽減させ、効率よく傷病者の搬送を行うために、災害時の民間車両の活用も有効であると考えられます。
 そこでお聞きいたします。
 大規模災害の発生時に傷病者の搬送を民間の患者等搬送事業者と連携する災害協定を締結するお考えはないか、県当局の御所見をお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

◯教育長(飯田靖君)
教育問題についてのお尋ねのうち、初めに、県立高校改革の推進と魅力ある学校づくりについてお答えをいたします。
 子供たちが先行き不透明な時代の中でたくましく生きていく上で必要となる、自ら課題を見つけ、深く考え、解決をしていく力を身につけるためには、学校は一人一人の生徒が生き生きと学び、自分のよさを伸ばすことのできる場所が重要でございます。
 そこで教育委員会では、現在、県立高等学校再編将来構想に基づき、時代の変化や地域の課題に対応をした新しいタイプの高校の設置や経済社会とリンクをした実践的な商業教育へのリニューアル、中高一貫教育の導入、さらに不登校や高校中退を経験した生徒が通信制、昼間定時制、全日制の間を自由に行き来しながら自分のペースで学ぶことができるよう、定時制・通信制教育のアップデートを行うなどの改革に取り組んでいるところでございます。
 今後は、高校生の七割が通っている普通科高校において、生徒がふだんから学校の外に出て、大学や地域の企業、自治体の協力を得ながら探求活動を進めるといった従来の教室内での学びにとどまらない学びを積極的に取り入れ、普通科高校における学びの活性化と変革を進めてまいります。
 また高校入試で、この春から、学校や学科の特色をよく理解し、ぜひその学校で学びたいという生徒が受験をする特色選抜を導入し、県立高校七十五校に九百七十四人が合格をいたしました。そうした強い意欲を持った生徒たちの力をしっかりと伸ばせるよう育ててまいります。
 こうした取組を通して県立高校改革を推進し、地域から信頼をされ、中学生が学びたいと思えるような特色と魅力を備えた県立高校づくりを進めてまいります。
 次に、中高一貫教育についてお答えをいたします。
 まず、導入の効果や県立高校全体の底上げについてでございます。
 変化の激しい社会や時代においては、周りの人と協力をしながら答えのない課題に対して粘り強く取り組む力を身につける必要がございます。そこで、中高六年間のゆとりあるカリキュラムにより、自ら課題を立てて分析をし、自分の考えをまとめて表現をする探求的な学びを深めることで、一人一人の個性や能力を最大限に伸ばし、答えのない課題に対して失敗を恐れずチャレンジをし、志を持って社会を変えていけるチェンジメーカーを育成してまいります。
 そして、探求学習を重視した中高一貫校をパイロット校として、他の高校にもその探求的な学びの取組を広げていくことで県立高校全体の学びを変革し、底上げを図ってまいります。
 また、中高一貫教育を成功に導くには、議員お示しの三つの課題に一つ一つ誠実に取り組んでいくことが大切でありますので、実務者によるワーキンググループで具体的な検討を行っているところでございます。
 一つ目の入学者の選考方法につきましては、過度の受験対策に傾かないよう、今年秋の説明会で保護者にしっかりと周知をしてまいります。
 二つ目の併設中学校の教員の確保につきましては、別枠で採用を行うほか、中高の人事交流により、中学生を指導できる高校教員の育成を進めてまいります。
 三つ目の国際バカロレアにつきましては、海外の大学進学のみを目的とするのではなく、県立ならではのバランスの取れた教育内容と費用対効果を踏まえた効果的な運営を目指してまいります。
 二〇二五年四月の第一次導入校の開校に向けまして着実に準備を進め、子供たちの学びの選択肢を増やすことにより、愛知の教育をよりよいものにしていきたいと考えております。  最後に、外国にルーツを持つ小学校入学前と義務教育の年齢を過ぎた子供への日本語教育をはじめとする支援についてお答えをいたします。
 小学校入学前の子供につきましては、日本語を学ぶ機会が少ないことから、現在十二市町において幼稚園や保育所等で初歩的な日本語の指導を行うプレスクールの取組が行われております。
 県では、来年度からこうした先進的な取組を実施する自治体に対して経費の支援を行い、県内で広く行われるように促してまいります。
 義務教育の年齢を過ぎた子供につきましては、二〇二五年四月から夜間定時制のある豊橋工科高校への設置を目指しております夜間中学において、日本語の習得状況や教科の学習状況に応じて段階的に学習ができるようにしてまいります。また、高校卒業程度の学力と日本語の読み書きを身につけることを目指して学習支援を行っております若者・外国人未来塾の日本語の指導者に学校へ直接来てもらい、習得レベルに応じた読み書きの指導を行ってまいります。そして、中学レベルまでの学びから夜間定時制への進学につなげ、技術や知識を身につけて、そして就職ができるよう支援をしてまいります。
 こうした県立の夜間中学は、東三河に加え、今後、西三河や尾張の外国人が多く居住をする地域への設置も検討をしてまいります。また、若者・外国人未来塾では、名古屋、豊橋、豊田、蒲郡の四地域に、来年度からは春日井と知立を加えて、外国にルーツを持つ子供が身近な地域で日本語を学べるようにしてまいります。
 このように、夜間中学、夜間定時制高校、若者・外国人未来塾がそれぞれの役割を持って連携をし、小学校入学前のプレスクールと併せて、外国にルーツを持つ子供たちへの支援を充実させてまいります。

◯県民文化局長(伊藤正樹君)
 外国にルーツのある子供たちの居場所づくりや多文化共生社会の実現に向けた地域日本語教室の支援についてお答えをいたします。
 本県には、本年二月時点において地域日本語教室が四十一市町に百九十あり、このうち子供を対象とした教室は百九あります。地域日本語教室は、議員御指摘のとおり、日本語だけではなく社会生活に必要な様々な知識を学び、悩みを相談できる居場所としての役割を担っております。しかし、地域日本語教室の担い手の多くは無償で活動するボランティアであり、資金面のほか、人材面などにおいて多くの課題を抱えております。
 こうした教室の活動を支援するため、地元経済会の協力を得て二〇〇八年度に愛知県国際交流協会に日本語学習支援基金を造成いたしました。二〇一六年度の第二次造成、そして今年度の第三次造成に当たっては、県が基金総額の二分の一を拠出し、地域日本語教室を運営するNPO等に対し継続して助成を行っております。さらに、人事面では、地元経済団体からの連携、協力の申出を受け、昨年十月に地域日本語教室で活動していただく企業ボランティアを協働で育成するなどの新たな取組も開始をしたところでございます。
 外国人の子供たちが通う地域日本語教室は、多文化共生社会を実現する上でも重要な役割を担っておりますので、行政が経済団体、企業、学校、関係団体等、地域の様々な主体と連携、協力をし、地域日本語教室を支える持続可能な体制づくりを着実に進めてまいります。

◯福祉局長(橋本礼子君)  高齢者の介護についてお答えいたします。
 介護を担う人材を確保するためには、まずは新しい人材の就業を促すことが重要であることから、介護福祉士養成校において介護福祉士を目指す学生等に対し、就学資金を貸し付け、一定期間介護職として従事することで返済を免除してまいりましたが、さらに二〇二一年度からは福祉系高校の学費や他の業種で働いていた方が介護職として就職する際に要する支度金までに対象を拡大し、本制度の利用促進を図っているところでございます。
 また、介護職員の定着を図るために、働きやすい職場づくりを進める取組も重要であります。そこで、介護ロボットやICT機器の導入に対する支援の拡充や介護職員の相談窓口の設置を継続するなど、業務の効率化や身体的、精神的な負担軽減といった労働環境の改善を支援しているところでございます。
 さらに、職員に対する研修等を積極的に行うなど、人材育成の取組が優良な介護事業所を認証し公表することで、求職者の方々が職場を選ぶ際の参考としていただくとともに、職員のモチベーションの向上を図っているところでございます。
 今後ともこのような介護職の魅力をより理解していただけるような取組を進めてまいります。
 次に、外国人材の受入れについてであります。
 介護職員の不足を解消するには、国内の人材だけでは限界があることから、これまでインドネシアやフィリピンなど様々な国から人材受入れが進んでおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まりつつある中、受入れを再開する介護事業所が増えております。そうした中、国ごとに異なるコミュニケーションや文化・風習への配慮や外国人材の介護技術の習得、日本の生活への適応等に対して不安を抱く介護事業所は少なくありません。
 そのため、受入れを検討しております介護事業所を対象に、受入れ制度の内容や成功のポイント、先行事例などを紹介するセミナーを例年開催しておりますが、これに加え、二〇二二年度からは外国人材の指導を直接行う立場にある日本人職員に向けまして、介護におけるやさしい日本語の使い方など、より実践的な内容のセミナーを新たに開催しているところでございます。
 さらに、外国人材と利用者や職員とのコミュニケーション支援や資格取得を目指す外国人材の日本語や介護技術の学習支援、生活支援を行う介護事業所に対して助成を行うなど、受入れ後の外国人材の定着のための支援も行っております。
 次に、将来に向けた介護人材の確保についてでありますが、三年に一度策定しております高齢者福祉保健医療計画におきまして、いわゆる団塊ジュニア世代が高齢者となります二〇四〇年には、議員お示しのとおり約三万四千人の人材が確保すると推計しております。
 介護人材に不足を生じることは介護サービスの提供に影響を与えることになりかねません。そのため、引き続きポータルサイト、介護の魅力ネット・あいちの運営や小中高校生向けの啓発教材の配布等による介護職の魅力の発信や一層の業務の効率化や負担軽減などの定着への支援策等の充実を図ってまいります。
 一方で、高齢者が要介護状態にならないようにすることも重要であります。そのため、高齢者の方々の社会参加を進め、地域で生き生きと生活していただけるよう、健康寿命を少しでも延伸していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、これらの取組を総合的かつ着実に進めることにより、介護人材の確保、定着に取り組んでまいります。

◯防災安全局長(坂田一亮君)
 救急搬送に関するお尋ねのうち、まずは救急車の適正利用の取組についてお答えをいたします。
 救急車の数には限りがあり、重傷者を迅速に搬送するためには、救急車の適時適切な利用により、円滑な救急体制を維持することが大変重要であります。そのためには、まずは一一九番通報をする前に傷病者の緊急性を正しく判断することが必要であり、本県では、救急車を呼ぶべき具体的な症状を救急車利用リーフレットやウェブページで案内するなど、救急車の適正な利用を促しております。
 しかしながら、症状によっては緊急性の判断が難しいケースもございます。判断に迷う場合はかかりつけ医に相談するよう呼びかけており、さらに、かかりつけ医がないときなどに、症状に合わせて診療可能な最寄りの医療機関を探すため、愛知県救急医療情報センターにおける三百六十五日二十四時間の電話相談やあいち救急医療ガイドのウェブサイトでも検索できるようにしております。
 県といたしましては、引き続き救急車の適正利用について積極的に広報を行い、緊急性のない軽症者の搬送を抑制するなど、円滑な救急搬送の態勢確保に努めてまいります。
 次に、大規模災害発生時の患者等搬送事業者との協定の締結についてであります。
 大規模災害発生時には全国からの緊急消防援助隊による救急車の応援を受けてもさらに救急車が不足することが想定されますので、複数の搬送手段を確保していくことは極めて有効であります。  議員お示しの患者等搬送事業者は、日常の業務として通院、転院や社会福祉施設への送迎などを行う民間事業者であり、災害時には緊急性や重症度の低い傷病者の搬送手段として重要な役割を果たすことが期待されます。
 この一月には、名古屋市消防局が市内の事業者と大規模災害発生時において救急車が不足する場合の傷病者の搬送について協定を締結しました。また、県内には名古屋市をはじめ二十一消防本部が認定した七十八事業者、百台の車両が活動しておりまして、事業者の指導や搬送スタッフの講習等を実施するなど、日頃から消防本部との協力関係が構築されております。
 このため、県といたしましては、こうした患者等搬送事業者と各消防本部が災害時の協力について協定を締結するなど、一層の連携強化が図られるよう働きかけを行ってまいります。
 なお、県では、愛知県タクシー協会及び名古屋タクシー協会と二〇一七年に協定を締結し、大規模災害時には軽症者の搬送に御協力をいただくこととしております。
 今後も災害時を見据えて、より多様な搬送手段が確保できるよう取り組んでまいります。

◯福祉局長(橋本礼子君)
 先ほど私からの答弁の中で、団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年には約三万四千人の人材が確保をすると申し上げてしまいました。
 三万四千人の人材が不足するが正しかったです。誠に失礼いたしました。

◯九十番(富田昭雄君)
 要望を一つと再質を一つさせていただきますが、要望のほうは外国人の子供たちの問題でありますが、NPOでボランティアをしている人たちと話をしておりますと、大変増えてきたということで、まだ相談に乗って学校へ通える子供たちはまだいいということでありますが、まだまだ、なかなかもっと子供ってたくさんいるのではないかということを言っておられましたけれども、愛知県は全国でも一番多い一万人を超えるということでありますけれども、この文科省の調査では、数字的に千人ぐらいは通っていない子供たちがいるのではないかということを言っておりますけれども、これもどれだけいるのかちょっと不確かでありますが、この十五歳を超える学齢超過者の対応が一番問題だと言っておられましたけれども、学校に行きたいけれども進学をどうやってやっていいか、日本語が全く分からない、どうしていいのかということで、やっとそういうところへたどり着いて相談に乗っている子たちはまだいいということでありますけれども、こういうことを考えますと、今後もこういうNPOの頑張っておられる方々に御支援をいただいて、また行政が中心になってこれが解決できるような議論もぜひともしていただきたいと思いますし、受け入れている学校においても、しっかりと外国人の生徒の皆さんが、特別入試等の拡大も含めて、日本語の教育、そして教科の教育等もしっかり受け入れて進めていただきたいということをしっかりと要望させていただきたいというふうに思います。
 再質問のほうでありますけれども、民間のこういった搬送事業者の活用は大変災害においては有効だというふうに思いますし、そう御答弁いただいたわけでありますが、愛知県として災害時に協定を結ぶというのは、タクシー協会やバス協会ともやっておられるわけなので、ぜひとも県が連携をする覚書を締結するということができないのか、私は各市町の消防局とやるというのもいいわけでありますけれども、県としてできないかというののお尋ねをしたわけでありました。
 それについてちょっと改めてお答えをいただきたいと思います。

◯防災安全局長(坂田一亮君)
 再度御質問いただきました患者等搬送事業者との協定の件でございますけれども、先ほどもお答えさせていただきましたように、軽症者の搬送を担う上で、消防、救急の補完的な役割を担っているということで、非常に重要な役割を担っておりまして、各消防本部と一定の協力関係があります。でありますので、各消防との連携を一層強めていくことが重要であり、基本であるというふうに考えております。
 このため、県といたしましては、これも繰り返しになりますが、患者等搬送事業者と各消防本部の協定締結などにより一層の連携が図られますよう、県としても市町村をはじめ関係者のニーズを踏まえながら働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

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