令和5年建設委員会(2) 2023年6月29日

【富田昭雄委員】
 今の話の流れでいくと、単身者向けは造らないということであれば、募集を増やしてもらえばよい。2DKでも、新しい単身者が入りやすい募集を増やすことについてはどうか。

【県営住宅管理室担当課長(県営住宅)】
 新設の2DKの住戸については、住宅のコミュニティーの活性化等を勘案して、幅広い世帯が入ってもらえる一般世帯に入居してもらうことで、従来、一般世帯に限って募集をしている。

【富田昭雄委員】
 学生と連携してやるという話も聞いており、それは一つの活性化で、東京などは多摩市で学生が入って、自治会の活性化につなげている実例もあるため、名古屋市もやり始めているみたいであるが、それをやる前向きな話と、県の取組みはそれと相反するような気がする。現代では独り身が多く、その人たちが入るところが少ない。なおかつ安価で入居ができるところが民間で少ないことを考えれば、公営住宅としての役割を果たさなければいけないと私は思う。
 次に、空き家対策である。全国で、850万戸と言われており、そのうち長期で放置してあるものが350万戸と言われている。愛知県ではどれぐらいあるか分からないが、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、市町村が主体となって、民間の不良住宅の除去や改修に対して補助を行っており、県においてもこうした除去などへの補助制度を持っている市町村に対して財政的な支援を行っていると聞くが、その概要と実績を伺う。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 本県では、国の交付金等を活用して愛知県空家等対策推進事業費補助金制度を2017年度に創設し、空き家等の除去や改修に要する費用の一部を市町村に補助する財政上の支援を行っている。
 本制度における補助対象は、構造上、保安上、衛生上、景観上において適正に管理がされていない空き家等の除却や、空き家を活用し、地域の交流施設など地域活性化のために利用される施設を整備するための改修としている。
 2017年度の制度創設後の補助実績については、除却が昨年度の263棟を含め、これまでに合計1,134棟、改修が昨年度の10棟を含め、これまでに合計14棟である。

【富田昭雄委員】
 先日、ニュースを見ていたら、和歌山市で空き家となっている古い旅館が壊されるという報道があった。地元の住民が怖がって困って市に訴え続けて、何年もかかってやっと壊してもらったとのことだが、こういったことがこれから出てくると思う。
 崖の上に建っている旅館で、昔は非常にはやり、たくさん観光客も来たが、持ち主が亡くなり、後継ぎがその相続を放棄したことで、いまは誰も持っていないということであり、略式の執行を行った。
 古い住宅についても、これから所有者も不明で、適切な管理がされないまま放置されることがあるとすると、状況によっては、行政側が所有者に代わって代執行をしなければいけないこともあると思うが、本県ではこういった事例があるのか。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 これまで、県内において2015年に施行された空家特措法に基づき実施した空き家の除却に関する代執行のうち、所有者等に代わって行政が強制的に措置を行う行政代執行については、安城市において2件の事例がある。
 また、所有者等が特定できない場合に行政が行う略式代執行については、瀬戸市で2件、名古屋市、豊橋市で各1件の合計4件となっている。

【富田昭雄委員】
 本県でもあるということで、今後は適切に措置をしてもらわなければと思うが、今般、空家特別措置法が改正されて、除去等のさらなる促進に加えて、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化することになったと聞いている。改正法が6月14日に公布され、施行は6月以内ということで、現時点では、具体的な内容は定まっていないと思うが、県としてはどのように取り組んでいくのか。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 空家特措法の改正により、市町村が空き家の活用を促進する区域や空き家の活用に関する指針を定め、空き家の利活用を促進する空家等活用促進区域制度の創設や、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になるおそれのある管理不全空家に対して、市町村長から勧告を受けた者は、固定資産税の住宅用地特例である6分の1または3分の1への減額を解除するなどの措置が盛り込まれた。
 具体的な内容については、今後施行日までに政省令等で定められると聞いているが、本県としては、空き家対策の主体である市町村が、改正法に基づく対応を円滑に実施できるよう、県内の全市町村等を構成員とする空き家対策担当者連絡会議の場などを活用して、情報提供や助言を通じて市町村を支援していく。

【県営住宅管理室長】
 先ほど県営住宅管理室担当課長が答弁したのは新設の県営住宅募集時の話であり、補足する。
 県営住宅の単身向け募集については、2021年度から一般世帯の応募状況、個々の住宅の状況などを、いわゆるコミュニティーに配慮しながら、2DKだけではなく、従来では募集していなかった3DK等も募集を始めている。また、特に高齢の単身者には配慮しており、入居機会を増やすために単身向けの募集だけではなく、いわゆるシルバーハウジングといったものや、老人世帯向け住宅といったものにも応募が可能なように制度を改めている。
 今後も一般世帯や、母子世帯等の配慮すべき方々の応募状況も踏まえながら、空き住戸の多い住宅を単身向けに切り替えるなど、拡充をしていきたいと思っている。

【富田昭雄委員】
 空き家については、ぜひこういう事例が増えていくとよいと思うが、活用することがまだ進んでいない。
 一昨日、私の周囲の空き家対策をやっているNPOの人々や、不動産屋に話を聞いた。何が大変かといったら、空き家を認知することができない、どこに空き家があるのか分からないというのが一番困っているということで、宅建業界からはアドバイザーから情報が来ると思ったら全く来ないと言っていた。
 また、令和6年に相続登記が義務化されると、登記の申請をすれば、誰が相続するかが分かり、そうしたら、その人にどうするかとは問えるので、もう少し営業がやりやすくなるとは言っていた。
 しかし、そこが空き家かどうか認知をどのようにするかは難しい話で、相続したから全部登記を上げていくという話になる。
 そういう意味では、市町村がやっているが、空き家バンクをつくることで、入りたい人を募ることもでき、空き家を募るというのもある。県として活用方法を考えると、しっかりと情報をどうやって得ていくか、それをリノベーションしてもらえる業者や市民団体、またNPOと連携をして、どういうまちづくりをしていくかということになる。
 特に商店街は、空き家があったらそれをどう活用するかを、熱心に、市民を巻き込んでやっている。
 このようなことを、ぜひ愛知県としてもしっかり考えて、制度をつくり、いろいろなところと連携しながら前に進めていってほしいと思うが、今ある情報で、そういうことをやっている市町村があるのか、また愛知県が持っているその仕組みなり、取組や考えがあれば教えてほしい。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 県内においても、NPO法人や一般社団法人等と連携して空き家の活用に取り組んでいる市町村がある。
 事例として、例えば豊田市においては、NPO法人と連携して市内の空き家所有者と入居希望者とのマッチング、空き家及び空き家予備軍への訪問相談、専門家による勉強会の開催などを実施している。
 また設楽町では、一般社団法人と連携して、築100年以上の古民家を改修して、地元の自然や特産品を生かした体験、飲食、宿泊ができる施設の整備であったり、空き家バンクの運営、空き家のマッチングの仕組みの運営などを行っている。

【富田昭雄委員】
 空き家対策について、局長の考えを伺う。

【建築局長】
 空き家対策の大きなものとして、今回の空家特別措置法の改正があり、その中で、今指摘のあった空き家の活用の促進が大きな柱として加えられている。
 その中で、新たな内容として、市町村がNPO法人や社団法人等を、空家等管理活用支援法人として指定して、所有者や活用希望者への普及啓発、情報提供等ができるようになっており、今後、詳しい枠組み内容が国からも示されると思っている。
 そういったものをしっかりと把握して、市町村が構成員になっている会議等の場で情報提供、それから様々な支援に取り組んでいきたいと考えている。

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