令和5年建設委員会(1) 2023年10月12日
【富田昭雄委員】
8月21日に道路が陥没した事故が設楽町であったが、陥没のニュースを見たときに、以前、福岡県であった道路の陥没を思い出し、そのときは地下鉄工事で掘削した土がどこかへ流れたとのことだが、どういう原因で設楽町の陥没が起きたのか。
【道路維持課担当課長(企画・技術)】
今回、国道420号で、陥没事故が起きた。この陥没箇所については、山間部の幅員約4メートルの道路で、山の沢筋を盛土構造で横切っている箇所であり、その盛土部分に沢からの水を流す横断函渠が設置されている。陥没の発生原因は、短時間で局所的な豪雨により沢から石や流木混じりの大量の土砂が流入し、横断函渠の入り口部分を閉塞した。本来、横断函渠内を流れる水が道路の盛土内を通り、盛土部分が流出して、路面が幅約4メートル、延長が約3メートル、深さ2メートルで陥没したものと考えている。
復旧の状況については、事故発生後、直ちに通行止めにするとともに、速やかに応急復旧に着手し、約2週間後の9月7日に通行止めを解除している。
今後、詳細に調査を実施するとともに、対策工法を検討し、本復旧工事を行う。
【富田昭雄委員】
短時間での集中的な豪雨が原因のため、めったに起きることではないが、集中豪雨が最近珍しくなくなってきており、他にも起きることは想定できる。たまたま今回は車両の少ないところであったが、同じような原因で、集中豪雨があった場合に陥没が起きることが他にもあると想定されるのか。
【道路維持課担当課長(企画・技術)】
今回は、集中豪雨であったが、今回の事故の発生を受け、構造が類似しており、過去に路面等への土砂流出があった箇所102か所を抽出し、直ちに現地で函渠等の閉塞状況を確認する緊急点検を行った。
その結果、新城市内の1か所で、同様な箇所を確認したので、速やかに土砂を撤去し、流下機能を回復させる対応を行った。
今後、日常の道路パトロール時に沢筋を横断する箇所における路面への土砂流出などの監視を強化し、再発防止に努める。
【富田昭雄委員】
他に、こういうことが無いようしっかりチェックし、空洞化、土砂が流れることが無いようしてもらいたい。
建設業界も人が足らないと言われている。今後どのようなことが起こるか県として業界全体のことや発注者側として考えていかなくてはならない。業界から大阪万博は単価が合わずに不調が多いと聞く。また、人がいないので本格的に外国人の獲得に動いているとも聞く。2024年問題は建設業界だけの問題ではないが、人手不足、高齢化、賃金などいろいろな問題がある。
そこで、県の入札では不調が多いと聞くがその状況はどうか、また、その理由は何か伺う。
【建設総務課担当課長(経理・契約)】
令和4年度の建設部門の工事の入札不調については、建設部門全体で126件の入札不調が発生している。契約件数2,266件に入札不調件数126件を加えた入札件数2,392件に対する入札不調の発生率は5.3パーセントとなっている。
次に、令和5年度の状況については、9月末現在で入札不調は55件発生している。契約件数1,072件に入札不調件数の55件を加えた入札件数1,127件に対する入札不調の発生率は4.9パーセントとなっている。
また、入札不調の理由としては、主に技術者が不足し現場に配置できないことや設計価格と見積価格が合わないことが挙げられる。
【富田昭雄委員】
今後は特に現場責任者となる技術者が不足すると言われている。技術者の獲得について、業界も県もいろいろと動いていると思うが、建設業は昔からの慣習もあり、なかなか人材を獲得できていないと言われている。業界の人材の確保について、県の取組を伺う。
【建設企画課担当課長(経理・契約)】
まずは、若手や女性の技術者が入職しやすい環境づくりとして、2016年度から、工事現場で男女別快適トイレの設置を始め、現場事務所の快適化等を行う誰もが働きやすい現場環境整備工事などに取り組んでいる。さらには、土木・建築を学ぶ学生を対象に、行政や施工会社、設計会社の若手技術者との交流の場であるあいち建設みらいサロンを開催し、それぞれの仕事を紹介することにより、建設業界の魅力や、やりがいを知ってもらう場として活用している。また、近隣の大学や高校などの講義や就活セミナーでPR活動も実施している。
このほかにも、一般の方に広く社会資本の役割を理解してもらい、建設分野の魅力を感じてもらうため、出前講座や現場・施設見学会、YouTubeチャンネルを通じたPRにも努めている。
こうした取組を通じて、今後とも、様々な観点から中長期的な担い手の育成・確保が図られるよう努める。
【富田昭雄委員】
それでもなかなか採用しづらいと思うが、不調になった場合は、どう対応するのか。
【建設総務課担当課長(企画・調整)】
入札不調となった案件への対応については、地域要件等を緩和することで参加可能な業者数を増やすことや、一般競争入札から指名競争入札に入札方式を変更することで、建設業者が入札へ参加するよう促している。また、競争入札では格付のある工事の場合で、1級上位もしくは1級下位の等級の業者まで範囲を広げて、指名業者を選定している。さらに入札辞退業者へ辞退理由を聞き取り、その聞き取り内容を設計等に反映させている。
主な辞退理由として、設計価格と見積価格が合わないことや、技術者が不足し現場に配置できないことが挙げられており、具体的な対応として、一つ目は特殊な工種で見積りにより設計価格を設定したものの、発注時の実勢価格と乖離しているものは、再度見積りを取り、設計価格に反映させている。
二つ目は、複数の工事を統合するなど発注ロットを大きくすることで、スケールメリットを生かすとともに技術者不足に対応している。
三つ目は、請負者の円滑な工事施工体制の確保を図るため、全体工期の範囲内で請負者が工事の始期及び終期を設定することができる余裕期間制度、フレックス方式を導入している。
入札不調となった案件は、以上のような対応により再入札を実施し契約に至っている。また、入札不調により供用開始等が遅れるなどの大きな影響は出ていない。
【富田昭雄委員】
猶予をもって期間を延ばすのもいいが、なかなか人を確保するのに金もかかる。一番は人を確保するのに、いろいろな意味で待遇をよくしなければならないが、特に土曜日を休日とし週休2日になると一人親方は実質的に働く日が減る。そうすると中小企業の下請は実入りが少なくなる。働き方改革の機運に乗ってよい環境で働けるように変わっていくことはよいことだと思うが、給料も上げなければならないし、休みが増えて給料が下がったでは特に一人親方は大変である。発注者も人件費だけ5パーセント上乗せするところもある。単価を上げていかないとついてこない。
工事を1年間通して同じ時期に集中するのではなく平準化しなければならず、特に4月から6月の仕事のむらをなくしていく必要があると考えるが、工事量の平準化について、県の取組を伺う。
【建設企画課担当課長(企画・調整)】
1四半期の工事稼働件数を、年平均稼働件数の80パーセント以上とすることを目標に定めて、施工時期の平準化に取り組んでいる。
具体的には、適正な工期を確保した上で、閑散期である第1四半期の早期発注を増やすとともに、債務負担行為や繰越明許費を活用することで、年度をまたいだ工期設定を可能としている。これによって、年間を通じた安定した工事量の確保にもつなげている。
この結果、昨年度の県発注の土木工事における第1四半期の工事稼働件数の割合は、目標値を上回る81パーセントとなっている。
今年度からは、業界から要望の多かった舗装の大規模修繕工事を第1四半期に施工できるよう早期発注を行い、より一層の施工時期の平準化を進めている。
また、市町村に対しては、国、県、市町村で組織する愛知県公共事業者発注者協議会を通じて働きかけを行っており、こうした取組を市町村とも歩調を合わせて行うことで、業界全体の労働環境改善につながるよう努めている。