令和5年建設委員会(1) 2023年12月13日

【富田昭雄委員】
 リニモについては、開業当時は未来の乗り物と言われ、磁気浮上型の無人で、大変眺めやデザインもよい乗り物であるとしてスタートしたが、愛知万博が終わってからは経営難で、県も市も相当財政的に支援したと聞いている。その後、イオン株式会社やIKEAができて状況も変わったが、その後コロナ禍となった。まず、リニモの乗車数及び売上げ等を伺う。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 リニモの利用者数は、愛知万博後の2006年度は年間502万人であったが、その後、沿線における住宅や商業施設の開発の進展とともに着実に増加し、2017年度には年間916万人、2019年度には愛知万博後最多となる923万人となった。2020年度は新型コロナウイルスの影響で538万人、対前年比で約58パーセントまで落ち込んだが、昨年度は行動制限の緩和やジブリパークの開園効果もあり、年間851万人、2019年度比で92パーセントまで回復をした。さらに、今年度上半期9月までを見ると、コロナ禍前とほぼ同じ水準まで戻っている。
 次に、リニモの経営状況については、開業時の初期投資に伴う長期借入金の返済が負担になっており、2006年度以降、毎年10億円以上の赤字を計上していたが、その後、県と沿線市等による2度の経営支援により長期借入金を完済し、2016年度以降は黒字に転じ、2019年度には万博後最大となる当期純利益3億1,500万円を計上した。その後2年間、2020年度と2021年度は新型コロナウイルスの影響でそれぞれ2億2,100万円と1億800万円の赤字となり、昨年度はジブリパークの開園の効果もあり、当期純利益が2億4,900万円、3年ぶりの黒字決算となった。

【富田昭雄委員】
 3年ぶりに黒字決算となったとのことだが、損益分岐点を伺う。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 損益分岐点について、直近2年間の2021年度と昨年度の会社の決算書類を基に計算すると、日々の運行に必要な経費である営業費が約14億6,800万円に対して、広告収入等の運輸雑収が約5,400万円あり、これを差し引いた約14億1,400万円を旅客運輸収入で賄う必要がある。利用者1人当たりの単価は173円であることから、この単価で割った約818万人が損益分岐点となる。

【富田昭雄委員】
 ジブリパークが開園して、利用者数はどれぐらい増えたのか。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 昨年11月のジブリパーク開園に伴うリニモの利用者数への影響については、ジブリパークの開園前後の定期以外の利用者数の比較から、1日当たり約2,000人の増加と試算している。
 ジブリパークの年間の営業日数を300日と計算して、年間で換算するとリニモの利用者数は60万人増加となる。

【富田昭雄委員】
 1日2,000人、実質1,000人が往復で2,000人である。60万人というが、単純に月6万人、1年で72万人増えたとして、年間で818万人とすると、先ほど851万人で黒字とのことだったので、その前は780万人しか乗っていないことになる。ジブリパークが開園しなかったら、ずっと赤字だったことになる。ジブリパークで60万人増加したとしても、851万人から60万人を引くと790万人である。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 昨年度は、ジブリパークの開園が11月であり、半年分にすると30万人程度になるので、それを差し引くと収益分岐点を少し上回っていたと思う。

【富田昭雄委員】
 ジブリパークが開園しなかったら、黒字になっていないのか。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 昨年度の実績は851万人で、ジブリパークの増加者数が1年で換算すると60万人で、昨年度は半年分のため30万人である。851万人から30万人を引くと821万人で、損益分岐点が818万人であるため、2年の平均では、若干上回っている。

【富田昭雄委員】
 損益分岐点を出して、どのくらい乗らなければいけないかを見なければならない。ジブリパークの入場者数は公表されておらず、実際に車でどのくらいの人が来ていて、どのくらいリニモに乗ったかが分からない。その辺はしっかり調べてもらい、ぎりぎりの状況であるので、リニモもしっかり対策しないと経営難になる。
 藤が丘駅を見ると、ジブリパークが開園したからといって、全く潤っていない。駅の周辺にはジブリの装飾等もなく、人が増えて買物をしている雰囲気もないので、もう少し対策しなければいけないし、恩恵を受けていない。どのようにリニモにたくさん乗ってもらうのか。ジブリパークに来てもらう人もそうでない人も、リニモに乗ってもらい、買物や旅行など、いろいろなところを訪れてもらえるようにどう誘導するのか伺う。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 本県では、ジブリパークの開園を契機に、沿線地域全体で受け止めて広く波及させることにより地域の活性化を図ることが重要であると考えている。
 その一環として、今年度はリニモでおでかけキャンペーンを11月から来年の1月末まで実施している。ジブリパーク来園者がリニモの1DAYフリーきっぷを利用し、沿線の店舗、施設で割引などの特典が受けられる内容となっており、藤が丘の中央商店街振興組合や沿線市の観光協会などと連携して取り組んでいる。
 また、快適な移動、地域の活性化などを目指し、名古屋東部丘陵地域を中心にMaaSの社会実装に向けた実証実験を行っており、これまでに沿線地域の観光情報の配信、回遊性の向上が期待されるシェアサイクルのポート設置などに取り組んできた。
 3年目となる今年度は、リニモのキャンペーンと連携したデジタルクーポンの配信、デジタルチケットの販売などのサービスを追加し、周遊促進に取り組んでいる。

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