令和5年建設委員会(2) 2023年12月13日

【富田昭雄委員】
 MaaSについてはどのような効果があったのか。
また、難しいと思うが、地下鉄とリニモの乗り継ぎ割引や、敬老パスは使えないのか。

【交通対策課担当課長(鉄道対策)】
 乗り継ぎ割引は、名鉄電車と名鉄バスや地下鉄と市バスなどの連携は行われている。リニモは、藤が丘駅で地下鉄、八草駅で愛知環状鉄道とそれぞれ連絡しているが、事業者間割引となるので、減収が発生し、事業者間の減収面での調整が難しく、現在は乗り継ぎ割引は実施していない。
 愛・地球博の際には、会場までのJR、愛知環状鉄道、リニモの往復割引フリー切符として、1枚の切符で行ける企画が行われていたが、当時は交通系のICカードがこの地域で普及しておらず、それぞれ切符を買わなければならないわずらわしさもある中で、その切符が販売されていた経緯がある。
 敬老パスは名古屋市の福祉施策の一環で、名古屋市内在住の高齢者について、市内の公共交通の利用を無料にして高齢者の外出を促進している。無料化の財源は名古屋市の一般会計から交通局に補填されている。リニモは、藤が丘駅は名古屋市内であるが、それ以外の駅が名古屋市外になっており、導入できない状況となっている。

【交通対策課担当課長(地域公共交通)】
 MaaSは、様々な移動手段やサービスを組み合わせて一つの移動サービスとして提供するものである。公共交通のみならず、自転車、シェアサイクルやタクシーなど多様な移動手段や飲食や観光など様々なサービスを組み合わせて、一つのアプリケーションで複数の事業者の決済を可能とするものである。キャッシュレス化といった公共交通の利便性の向上はもとより、周遊の促進や観光や飲食などのほかのサービスとの連携による地域経済の活性化など、様々な効果が期待できる。

【富田昭雄委員】
 先日、宇都宮市に行きLRT(次世代型路面電車システム)を視察したが、まちづくりを市電で進めようとしていた。コンパクトシティの取組である。LRTの沿線に工場があるなど、ある程度人が張りついている。また、パーク・アンド・ライドの駐車場をつくり、そこへ車を止めてLRTに乗る。また、駅も開発されて、駅前がきれいな町になっている。昔は小さい家がたくさん建ち並んで、そこに店舗があったが、今はきれいな町となり、そこで買物をするなど生活を楽しんでいる。LRTは、道路の真ん中を通しており、それほど難しい工事ではないと思うが、開発するのに30年かかっており、様々なことを決めるまで時間がかかったとのことであった。
 これから免許を返納する高齢者が増えると、一番問題となるのは、買物と通院である。これらがある場所へどのように移住してもらうかを考えると、リニモは最適である。リニモの沿線には県の土地がたくさんあり、陶磁美術館は広大な土地であるので、県営住宅や介護施設をつくるなど、住居にしてリニモを使って通勤することをこれから考えていく上では、まちづくりや再開発が大変重要である。そのためには、市町の協力なしにはできないが、大きな絵を県が描かないといけない。リニモや愛知環状鉄道を使って地域のコンパクトシティをつくりながら人の輸送を考えていくのは、大変重要なテーマだと思う。ぜひリニモも、損益分岐点ぎりぎりのところであるため、利用促進やまちづくりも考えてもらい、本県の未来の都市開発やまちづくりに生かしてもらいたい。

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