令和6年建設委員会 2024-03-15日

【富田昭雄委員】
 分譲マンションの老朽化の対策について伺う。
 最近、特にこの話題が様々なところで取り上げられているが、マンションは、タワーマンションも含めてどんどん建設されており、非常に入居者が多いが、これらのマンションは二つの老いが深刻化していると言われている。築40年過ぎているところが全国で120万戸、そのうちの世帯主が70歳を超えている入居率が48パーセントである。つまり、建物も中にいる人も老朽化して、先々大変だということである。
 それぞれの集合住宅で入居者がたくさんおり、管理されている。どこまで自治体が介入できるかであるが、放っておくと、まち全体の問題でもあり、滋賀県の野洲市では、空家対策特別措置法で行政執行し、結局は市のお金で壊した事例もある。このようなことがこれからも出てくるのではないかということで、自治体も放っておけない。
 昨年、マンション管理が適正かどうかを自治体が認定する管理計画認定制度ができ、4月から始まったが、なかなか認定件数が増えない、伸び悩んでいると聞いている。
 この制度で、どのように今後運用されていくのか注目されているが、本県がどういう状況か伺う。築40年を過ぎたマンションの戸数と、今後の推移を伺う。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 県内のマンションの戸数であるが、2020年度末で約39万6,000戸であり、そのうち築40年以上の高経年マンションは約5万4,000戸と推計されている。
 こうした高経年マンションは、2030年には約13万9,000戸、2040年には約25万1,000戸になると見込まれている。

【富田昭雄委員】
 倍々ゲームで増えていくわけであるが、管理計画、適正化推進計画を県や市が策定をした場合には管理計画が認められる。そのマンション管理計画認定制度が2年たつわけであるが、どのような状況になっているのか。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 本県は、所管する町村区域のマンション管理適正化推進計画を策定して、2022年4月の改正法施行に合わせて運用を開始したほか、市の推進計画策定を促す取組として、マンション管理適正化推進計画の作成に関するガイドラインを2022年3月に作成し、計画未策定の市に県職員が訪問して、計画策定の必要性や具体的な作成方法の助言等を行ってきた。
 この取組の結果、2024年4月には、県内35市において、推進計画が策定済みとなる見込みで、棟数ベースで約99パーセントのマンションが認定の対象区域に含まれる見込みである。  また、管理計画認定制度の実績については、県内では、本年2月末現在で32件が認定されている。この中には、昨年4月21日に本県が町村の区域としては全国初となる認定を行った物件も含まれている。

【富田昭雄委員】
 99パーセント網羅したとのことで、計画策定はできるが、問題は32件が多いか少ないかという話である。何戸中の幾つかは分からないが、実際にその管理計画の認定制度を受けてもらい、それをどうやって運用していくかという話だと思うので、ぜひ今後も推し進めてもらいたい。
 その中でも、この適正化に向けて、マンションの管理適正化法以外にも、区分所有法だとかいろいろ難しいところがあると思うが、例えばこれから建て直すにしても、持っている人の決議の5分の4が必要である。様々な法律の絡みがあると思うが、そのような法律にしても、区分所有法を改正して、改正に向けた動きが本格化しているということで、そのような所有者の集会の決議も、出ていない人は除外をするという仕組みも出ているようである。マンションの管理を適正に実施してもらうために、こうした制度で後押しすることが必要だと思うが、大規模修繕工事は、工事費が足らないという場合は、見直しをして積立金を増やしているマンションもたくさん出てきたと聞いている。このようなことも含めて、工事費が適正かどうか素人では分からない。  様々な課題があると思うが、このような問題についても寄り添って相談に乗ることが重要だと思う。このような対策についてどう対応しているのか。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 適正な工事価格かどうかの判断について、例えば公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運用する住まいるダイヤルにおいて、契約前の見積書が一般的な工事単価とかけ離れた額になっていないかなどをチェックして助言する、リフォーム見積チェックサービスを無料で行っている。
 また、そのほかの課題として、修繕積立金の不足については、住宅金融支援機構が、マンションの大規模修繕工事において活用することができるマンション共用部分リフォーム融資を提供しているほか、修繕積立金が将来的に不足しないよう、負担額や会計の収支などを試算することができる長期修繕ナビをウェブページで提供している。
 本県では、こうしたサービスや融資制度について、一般向けセミナーや市町村の相談窓口担当者を集めた講習会でリーフレットを配布し、周知を行っている。
 さらに、本県が関係市や関係団体と設立したマンション管理推進協議会においては、マンション管理士や建築士による専門家の無料相談を実施しており、大規模修繕工事の費用に係る相談について、融資制度の活用のほか、例えば優先すべき工事箇所の選定や、屋根防水や外壁補修工事の改修方法の見直しによる工事費縮減など、個別の事情に応じたアドバイスを行うことができる体制を整備している。

【富田昭雄委員】
 しっかりと相談してもらってほしい。最近、管理組合の運営をそのまま受託する会社が出てきており、そこが全部受けると簡単に見えるが、今後は費用も何もかも、そこが全部決めてしまう。本当にそこがしっかりとしたところなら良いが、そうでないと、高い値段で修繕をしたり、高い値段で管理したりできてしまうので、そういうことも含めて、管理組合が適正に運用ができるように、アドバイスをしてもらいたい。
 一般社団法人マンション管理業協会が、適正化法と同時にマンションの管理状況についての全国共通の評価基準を決めて、行政のマンションの管理認定制度と別に管理適正評価制度を運用していると聞いている。インターネットの画面を見ると、そのマンションがいい評価かどうかというのがすぐ分かり、そのマンションの価値にすぐ反映されて、売買にも使えると聞いている。先ほどの認定制度も、この評価制度を申請すると一気通貫でそのまま申請もできるので、非常に認定の取りやすい窓口にもなると聞いており、これは非常によいことではないかと思っているが、これについてはどう考えているか。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 一般社団法人マンション管理業協会が行っているマンション管理適性評価制度は、行政の管理計画認定制度の審査項目を含む30項目について審査を行い、管理状況を星なしから星五つまでの6段階にランクづけして評価するもので、マンションの管理状況を客観的、段階的に表して把握できるところに特徴がある。
 評価の結果、管理体制や管理組合収支など、マンション管理においてどの分野に課題があるのかが明らかとなり、改善に向けた取組を行っていくことで、適正な管理状態を維持していくことが期待できるものと考えている。
 また、評価制度を実施しているマンション管理業協会は、行政の管理計画認定制度を申請する場合の窓口の一つにもなっており、評価制度の申請と併せて管理計画認定制度の申請もワンストップでできるため、認定制度の普及促進を図る上でも効果があるものと考えている。

【富田昭雄委員】
 この評価制度は非常によいと思うので、連携して進めてもらいたいと思うが、老朽化したマンションが管理不全に陥らないように、日頃から適正な管理が重要である。  マンション管理のため、今後、行政として適正化を推進するためにどうしていくのか。

【住宅計画課担当課長(企画)】
 本県が構成員となっているマンション管理推進協議会では、マンションの区分所有者等を対象としたセミナーや講座、定期相談会のほか、業者に管理委託をしていない自主管理マンションが行う勉強会のために専門家を派遣する事業、それから、管理組合同士で情報交換を行ってもらう交流事業などに取り組んでいる。
 また、県が所管する町村区域のマンションに対しては、マンション管理に関する資料の送付を行うとともに、2021年に行った管理状況のアンケートに回答のないマンションに対して、町村と連携して現地訪問を行うなど、実態の把握と適正管理の重要性について周知啓発に努めている。
 こうした取組を通じて、今後もマンション管理の適正化を推進していきたい。

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