令和6年総務企画委員会 2024年6月26日

【富田昭雄委員】
 あるアンケートでは、災害発生時における自治体の課題で、防災、災害担当者の9割が、初動対応が重要と回答、そのうち4割が初動対応は不十分と回答している。
 また、当該アンケートでは、初動対応では、刻一刻と変化する状況を把握すること、情報を正確に確認すること、住民へ迅速に情報を伝達すること、適切なタイミングで避難指示を発令することなどが難しいと回答されており、それに対する取組として、各組織内での訓練の実施、職員間のコミュニケーションの向上などが挙げられているが、本県の災害時の初動対応における連携力強化に向けた取組について伺う。

【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
 大規模災害発生時は、県庁自治センター6階に災害情報センターを開設して対応することとなるが、災害時に円滑に開設するため、立ち上げのためのマニュアルを整備しており、職員はこのマニュアルに沿って行動し、迅速に体制を整え、各機関のリエゾンの受入れ、情報共有や活動の調整を実施する。
 これまで図上訓練型の県災害対策本部運用訓練や被災自治体支援活動訓練において、各機関のリエゾンと連携訓練を実施している。
 また、実動訓練である総合防災訓練や、津波・地震防災訓練において、現場の部隊同士が連携し、救出救助活動の訓練を実施しており、こうした訓練を通じて防災関係機関相互の連携を深めてきた。
 今年度も、9月に実施する県災害対策本部運用訓練や、阿久比町で実施する総合防災訓練、10月に弥富市で実施する被災自治体支援活動訓練や、11月に愛西市で実施する津波・地震防災訓練を通じ、課題を明らかにし、その体制を各初動マニュアルに反映することで、より実効性を高めていく。

【富田昭雄委員】
 本県において、災害発生時における、災害情報の収集、住民への伝達、避難指示の発令はどのような形で行われるのか。

【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
 大規模災害時は、市町村が避難指示等を住民に素早く伝達する必要があり、本県では、まず緊急速報メールを全54市町村に伝達することとなっていることに加え、防災行政無線、広報車、地元ケーブルテレビ、コミュニティーFMなど、複数の手段、何らかの手段により情報が確実に伝達するような体制を取っている。

【富田昭雄委員】
 答弁漏れだが、災害情報を県はどこから収集するのか。また、その収集方法を伺う。

【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
 市町村の被害状況については、原則、市町村がシステムによって県に情報を集約することになっているが、大規模災害時は、市町村の職員が情報を上げることが困難な場合もあるため、県職員を派遣し、市町村から被害状況を入手する体制を取っている。

【富田昭雄委員】
 県職員を派遣するにしても、災害地、震源地が分からないと、職員を派遣できないと思う。市町村も災害発生時にパニックになると、職員派遣のシステムが機能しないと思うが、それにはどのように対応するのか。

【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
 震度情報ネットワークを本県は整備をしており、特に被害が大きい地域を把握するとともに、震度5強以上の地震については、自動的に市町村に県職員を送るシステムになっているため、そこから情報を得ることになる。

【富田昭雄委員】
 本年4月に台湾で地震が発生した際、災害直後に、素早く避難所にテントを設置したことで話題となったが、台湾では、避難所におけるテントの設置について、民間事業者とNPO、NGO等が行政とタイアップし、日頃から訓練を実施したことにより迅速に対応できたと聞いている。本県においても災害発生時にそのような対応をすることは可能か。

【災害対策課長】
 本県においては、例えば学校の体育館、庁舎等、屋内で避難できるよう、避難場所を確保しており、その際、必要となる段ボールベッド等については、関係の事業組合と協定を締結し、必要数を確保するための体制を取っている。
 また、避難所の運営については、総合防災訓練等の中で、実際に住民、関係事業者の参加を得て、運営の訓練を行っている。

【富田昭雄委員】
 段ボールベッド等について、各市町村の避難所収容人数分の県の備蓄があるのか。

【災害対策課長】
 本県の備蓄だけではなく、災害発生時に段ボール事業者、それから本年5月に協定を締結し、災害時に供給されることとなった段ボールベッド、紙の筒や幕を使った間仕切りなどの備蓄以外のものを協定に基づいて提供してもらい、必要数を確保していくことになる。

【富田昭雄委員】
 協定に基づき供給される間仕切りはどのような形状か。
 また、そのような物資の供給を依頼する際には、どのように事業者に連絡するのか。

【災害対策課長】
 一点目の、間仕切りの形状について、段ボールベッドの周囲を、先日協定の締結により提供されることとなった紙の筒で四方に柱を立て、そこに幕等をかけての間仕切りする形となる。
 二点目の、災害時における事業者への連絡は、災害救助法の適用、または市町村から物資のあっせんの要請があった場合に、県を通じて関係事業者と連絡を取る形となっている。

【富田昭雄委員】
 災害発生時に、県が市町村の状況を把握した上で、協定に基づき民間事業者とどのように連絡を取るかは、あらかじめ民間事業者と十分に情報共有を行ってもらいたい。
 台湾のように、民間事業者、NPO、NGOが災害発生時に迅速に対応できる体制を構築するためには、行政と同じレベルで民間事業者等が情報を共有できている状況が必要であり、行政がどう民間事業者へ情報を提供するかが重要だが、それに対する県の考えを伺う。

【災害対策課長】
 事業者との連携の面では、協定を締結した事業者とは連絡会、会議という形を設け、県や関係市町村等へ協定内容に基づく国等の取組について日頃から情報提供し、また、訓練の参加を経て、災害時に、協定に基づき事業者へ要請する際に、あらかじめスムーズに連絡が取れるようにしている。

【富田昭雄委員】
 このことについては、段ボールベッドだけではなく、テントも非常に有効なものであるため、あわせて考えてほしい。また、民間事業者、NPO等に協力を依頼する場合も、行政と同じレベルの情報を共有することは難しいと聞く。そのため、日頃から、何か起きたときにはどのように情報を共有できるかは、しっかりと訓練をし、規定として定めておかなければならないと思う。
 次に、防災拠点の完成が当初スケジュールから2年程度遅れることは責任問題である。
 その上で、質問するが、今年1月の能登半島地震ではうまく物資が運ばれていなかったと聞いている。豊山町に支援物資倉庫が整備された場合、災害発生時に、物資を円滑に被災地に届けられるようなオペレーションはできているのか。

【災害対策課担当課長(調整・支援)】
 本県では、現在、支援物資を効率的に一元的に各市町村の輸送拠点に運ぶため、広域物資輸送拠点や県内に101か所ある地域内輸送拠点などの活用を含め、県全体の災害物流の全面的な見直しを進めている。
 大規模災害時は、国からプッシュ型支援で届く物資の他、協定事業者から提供される物資など大量の物資が届くため、これらを円滑に受入れ、集積し、仕分けをし、各拠点に配送することが、市町村への適切な物資輸送のためには重要である。
 現在、国の物資調達・輸送調整等支援システムがあり、そこで国、県、市町村の間で必要な物資に関する情報を共有しているが、物流の世界は日進月歩であるため、最新の情報に日々アップデートし、効率的な体制としていくことを考えている。
 このため、愛知県トラック協会など物流の専門家と意見交換を重ね、現場に必要なオペレーション、データ管理などをどのようにしていくかを協議している。
 また、能登半島地震における様々な対応について、令和6年能登半島地震に係る災害応急対応の自主点検レポートが、今月公表され、民間物流業者、自衛隊の支援が被災地に入ったことで、避難所までの円滑な物資輸送が可能になった事例もあると報告がされた。
 今後、さらに国のほうでも災害時の物資輸送に関する検証が進められていると聞いている。そのような検証結果も踏まえ、本県においても、避難所まで速やかに確実に物資を届ける体制を確保するため、物流専門家のアドバイスを受けながら、準備を進めていきたい。

【富田昭雄委員】
 熊本地震が発生した際、物資倉庫内に多くの物資が搬入され、配置場所を把握できずに現場が混乱したこともあったと聞いているが、実際、災害が発生した場合、本県は物資拠点内の物資の整理を円滑に行うことができるのか。
 また、現在、整備中の豊山町の支援物資倉庫が完成するまでの間は、支援物資の集約をどこで行うのか。

【災害対策課担当課長(調整・支援)】
 現在では県内に5か所ある広域物資輸送拠点、例えば長久手市のモリコロパークや、みよし市にある中部トラック総合研修センターなど5か所を県の物資拠点として活用する計画としている。
 今回の能登半島地震で本県が対口支援に入っている志賀町でも、発災当初は多くの物資が運ばれ、拠点内の整理がうまくなされない状況もあったが、そこが徐々に専門家が入ったことにより改善され、物資が円滑に避難所まで届けられるようになった。
 そのため、例えばよく使う物資とあまり使わない物資といった物資の性質などに応じて、保管場所、それから取りやすさといったことも勘案し、広域物資輸送拠点内で物資が円滑に流れていくようなレイアウトなどを物流専門家の意見も聞きながら運営していきたい。

【富田昭雄委員】
 答弁漏れがあるが、豊山町の支援物資倉庫が完成するまでの間はどこを拠点に物資を集約させるのか。

【災害対策課担当課長(調整・支援)】
 豊山町に支援物資倉庫ができるまでの間は、現在運用している5か所の広域物資輸送拠点、具体的には、名古屋の中小企業振興会館、一宮総合運動場、長久手市の愛・地球博記念公園、みよし市にある中部トラック総合研修センター、豊橋市総合体育館、この5か所を現在の広域物資輸送拠点と定めている。

【富田昭雄委員】
 全国から支援物資が届いた際は、その物資をどのようにして広域物資輸送拠点に分配するのか。

【災害対策課長】
 広域物資輸送拠点を5か所設定したのは、県内いずれかの地域で被災した際、より近いところに拠点を設け、そこで国の物資を受け入れた後、それぞれ被災した市町村の物資を送り込む拠点に運ぶことを目的としている。そのため、発災の状況に応じ、その五つの拠点を使い分ける。また、南海トラフ地震では、県内全域が被災する可能性があるため、効率よく5か所の物資輸送拠点を活用するとともに、国等から提供される物資については、例えば陸路、空路による物資提供が考えられるため、そのような場合に、より近接する物資輸送拠点で物資を引き受けられるようにするなど、取組を進めていく。

【富田昭雄委員】
 仮に、食品会社がカップヌードル1万個を寄附する場合は、物資の送付先は、広域物資輸送拠点の5か所にそれぞれになるのか。

【防災部長】
 まず、一般の人からの寄附や我々が市場から調達することによって供給される物資は、基本的に、広域物資輸送拠点が届け先になる。ただ、状況により、市町村ごとに定めている地域の輸送拠点に直接持ち込んだほうが合理的あれば、そのように物資輸送の行程を組むこともあり得る。

【富田昭雄委員】
 物資を送る側は1か所に送ったほうがいい。1か所に送るとしたらどこなのかを尋ねている。

【防災部長】
 そういう意味では、広域物資輸送拠点5か所に自動的に送られることになる。

【富田昭雄委員】
 そんな不便なことがあるのか。寄附してもらうところに、5か所へ送ってほしいと依頼するのか。

【防災部長】
 まず、前提として、大規模災害が発生した場合は、県庁内に緊急物資チームが編成される。そのチーム内で様々な検討をした上で、物資の配送先を指示することとなる。
 そのため、仮に、食品会社から物資を提供してもらう場合、品目、数量に応じ、一番合理的と考えられる広域物資輸送拠点のいずれかを届け先として指定することとなる。

【富田昭雄委員】
 1か所に物資を集中させ、そこから物資を5等分し、各広域物資輸送拠点に送ればいいわけである。そのために早く豊山町に支援物資拠点を整備しなければならない。本来は5か所の広域物資輸送拠点に物資を送付する前に、例えば県庁へ物資を集中させ、物資は県庁へ送ってほしいという依頼の仕方のはずである。寄附してくれる企業等に、5か所の広域物資輸送拠点にそれぞれ送ってほしいという話は、聞いたことがないが、局長の考えを伺う。

【防災安全局長】
 現在、5か所の広域物資輸送拠点を設けており、基本的に一番量が多いのは、国からのプッシュ型支援による物資の集積になるが、この物資の宛先は5か所の広域物資輸送拠点を指定し、それぞれに必要な量を届ける形となっている。そこから県内101か所に向けて発送する方法を取っている。
 確かに、物資を寄附する側からすると、1か所に送付できた方がよく、我々としても、資源、資材等を考慮し、1か所で物資輸送拠点を運用した方が効率がよいということも含め、今回、後方支援拠点として、豊山町の支援物資拠点を整備するに至った。
 そのため、豊山町の支援物資拠点が整備されるまでの間は、5か所の広域物資輸送拠点を効率的に運用できるよう、広域物資輸送拠点では、国からのプッシュ型支援を受入れ、それを迅速に市町村へ流すという形を想定している。また、その際、必要な物資が見当たらないということがないよう、物流、蓄積の仕方を繰り返し検証する必要があることに加え、短時間に大量に物資を仕分けする必要があることから、愛知県トラック協会などの物流の専門家の力も借りながら、最新技術を活用し、物資輸送の効率化に向けて取り組んでいく。

【富田昭雄委員】
 要望として、豊山町に整備中の支援物資拠点が完成した際は、最新の民間の手法を取り入れ、物資の整理整頓ができずに、奥に入った物資を取り出せないことがないよう、オペレーションを考えてもらいたい。

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