令和7年教育・スポーツ委員会 2025年7月1日
【富田昭雄委員】
私からは大きく三つ聞きたいと思う。
ただ、その前に、今意見もあったが、今回の盗撮の事件についてはぜひできない環境をつくってもらいたいというような、今回の事案は、へえ、と終わってしまうような話ではないと思うので、必ずこれは何か変わったという対策をぜひしてほしいと思うし、これは来年法律ができて、このような性癖がある人は二度と教壇に立てないようになると聞いているが、そのことについても徹底してもらわないと、どんどん信頼がなくなる。今度起こったら大変なことになると思う。そのような盗撮ができない環境をつくっていくことが大事だと思うので、ぜひ検討してもらいたい。
それは要望としてお願いし、三つ聞くが、一つは中高一貫、もう始まっているが、中だるみが生じてしまうと思うわけである。入試がないということについて、どのような対策をしているか伺う。
【中高一貫教育室長】
高校入試のない6年間のゆとりある生活は、中高一貫教育のメリットである一方、中学3年生や高校1年生の時期に一時的に学習意欲が低下する、いわゆる中だるみが生じやすいことが課題の一つとして指摘もされている。そのため、中高一貫校では生徒が学習意欲を高く保ち続けられるような工夫が求められる。一般的な大学受験を目標とした先取り学習により、知識詰め込み型の教育を行う学校では中だるみが生じやすいと考えられるが、本県の第一次導入校である中高一貫校では、生徒が自ら課題を設定し、情報収集、分析し、まとめ、発表し、さらなる課題に取り組むという探究学習のプロセスを繰り返しながら、自分が興味関心がある分野の学習に意欲的に取り組んでいくことができる探求のカリキュラムを導入している。また、学校ごとに中学3年生の時期に3年間の探求成果について発表会を開催したり、海外研修を実施したりするなど、生徒の意欲を高めるための行事も企画している。各校では、それぞれのカリキュラムに基づき、工夫しながら、生徒のもっと知りたい、もっと学びたいという探求心を引き出し、中高の6年間を通して、高い学習意欲を持って探求に打ち込んでいけるように取り組んでいく。
【富田昭雄委員】
理想論はそのようなことなのだが、何をやるかよく分からない。その探究というのは、具体的に何をするのか。どのような授業をするのか。
【中高一貫教育室長】
本県の第一次導入校の中高一貫校では、従来のような大学受験のための知識詰め込み型の教育ではなく、6年間の探究学習により、社会の変化を起こすチェンジ・メーカーを育成していくことが第一次導入校の最大の目玉と考えている。例えば、明和高等学校附属中学校では総合的な学習の時間をMCJ(メイワ・キャンパス・ジュニア)と名づけて、学問の分野の垣根のないリベラルアーツを意識した探究学習を行っていく。1年生では様々な分野の講師を招いたり、博物館や劇場、大学の研究室などに実際に足を運んだりして、本物に出会う機会を数多く設け、生徒の知的好奇心を引き出していく。今の明和高等学校附属中学校は、開校してから3か月であるが、既に外部講師による数学の探求の講義や県芸術劇場のバックヤードの見学、名古屋城でのフィールドワークといった取組も行っている。2年生からは、例えば歴史や芸術、宇宙など、自分の興味関心がある分野のゼミを選んで、自ら設定した課題について仲間とディスカッションをしながら探求を深めていく。そして1年間の探求の成果を学年末に成果発表会で報告して、3年生ではより高度な課題にチャレンジしていく。第一次導入校では各校が特色ある探究学習によって生徒の探求心や様々な人と協働する力、粘り強く取り組む力を伸ばして、これからの愛知や日本をリードするチェンジ・メーカーを育てていきたいと考えている。
【富田昭雄委員】
そのように変えていくということなのだろうが、その場合に、意欲ある人はよいのだろうが、全員意欲があるという前提なのか。もう一つは探究、探究というが、何をもって推しはかっていくというか、今までの詰め込み教育というのは、ある程度点数でどれぐらい記憶したかというのはよく分かるわけだが、それがないとなると、何をもって推しはかって、この子はよくやっているということを把握するのか。
【中高一貫教育室長】
生徒が課題を設定して自主的に課題の解決を目指していく探究学習を進めるためには、生徒の学ぶ意欲を高めることが重要と考えている。例えば、半田高等学校附属中学校では生徒の主体性、自主性を伸ばして、生徒自身が自分に今必要な学習は何かを把握して、自主的に学びを進めていける自立した学習者として成長していけるように、数学の授業において、自由進度学習を取り入れている。このほかにも津島高等学校附属中学校ではチーム担任制を敷く、明和高等学校附属中学校では家庭科や体育などの一部の教科を除いて、中学校の教員と高校の教員によるティームティーチングのような形で様々な興味関心がある生徒を複数の目で見るようなこともできるように取り組んでいる。
【富田昭雄委員】
中高は結構長い。私が見に行った麹町中学校は担任がいない。8クラスを8人の先生が見るという。そのような意味では、非常に人気のある先生はよく分かる。そこの校長がよく言っていたが、私たちの仕事は生徒のやる気にスイッチを入れるだけだと。自主的な学びに重きを置いていると言っていたので、だから、中間も期末もない。だから、非常に伸び伸びとやっているが、ものすごく差が出てしまう。同じ数学の授業をやっていても、1クラスだけは前を向いて聞いているが、あと2クラスはみんな自主的にiPadを持って勉強して、分からないところは先生に聞いているという授業をやっている。そのような意味では、本当に6年間の間にスイッチを入れるだけだと言っていたが、そのようなものがしっかりとできればよいが、できないとなると大変なことになるので、その環境の変化に注意できるようにどう指導するか。中高一貫について愛知県は、後発である。進んでいるところは15年ぐらい前からやっていて、愛知県は本当に遅い。遅く参入して、一気にやろうとしているので、そこのところの環境変化にどうついていくか心配している。それだけの指導者がちゃんとついていっているかをチェックしていかないと、前と同じようなやり方で同じように進んでいったら全くチェンジ・メーカーなんかできない。その点だけ指摘しておきたい。
二つ目の質問は先生についてであるが、私が見に行ったところは同じ先生が6年間一気通貫でやっていたところが多いが、愛知県は3年間、3年間で分けるのか。
【中高一貫教育室長】
愛知県の第一次導入校については、3年間、3年間で、身分的には中学校、高校とは別にはなるが、中高一貫校の教員配置については、2023年度と2024年度に開催した中高一貫校の教育内容や教員配置、入学者選抜などの具体的な事項を検討するために開催した中高一貫教育具体化検討部会において、市町村の教育長や県立の校長からも同じ教員が6年間継続して指導できるとよいとの意見ももらったところである。そのため、本県の中高一貫校では中高6年間を見通した指導ができるように、市町村立小中学校の教員に加えて、県立高校の教員のうち中学校教諭の免許を保有している教員を配置する。これによって、第一次導入校については、学校が所在する地区を中心とした市町から教員を派遣してもらうとともに、県立高校の教員を人事異動によって配置した。
【富田昭雄委員】
具体的に、中学の先生が3年間見て、高校の先生が3年間見るのか、それを一気通貫で6年間見る人がいるのか。それの割合が混在していて何割か違うのかと、簡単に言ってもらえばよい。
【中高一貫教育室長】
全ての教員が6年間継続していけると一番よいとは思う。今のところ県立からの中学校に異動する教員がずっと上がっていくようなことを考えていきたい。
【富田昭雄委員】
最初の中学3年間は中学の先生が見て、高校の3年間は高校の先生が見ると。だが、いずれは6年間同じ先生が見ていくというならそれはそうやって答えてもらえばよい。現状は今どのような体制になっているか。
【中高一貫教育室長】
現状はこの4月に開校した第一次導入校では普通の一般教員が基本的に9人いて、そのうち6人が小中学校から来た教員である。残りの3人が県立高校からの教員であって、これが2年目、3年目以降は県立の教員を増やしていって、そのまま6年間、5年になるか4年になるかもしれないが、指導していけるようにしていきたい。
【富田昭雄委員】
6年間一気通貫の方がよいという結論であれば、そのような体制を敷くということが大事だと思うので、よろしくお願いする。資格の問題があるのだろうが、両方免許を持っている人が多ければそれはそれでいいと思うが、今無理やり地域の中学校の先生を駆り出しているとすれば、その人たちは戻してあげてほしいと思う。
二つ目だが、県立高校の再編について聞く。これは前から指摘していたが、そんなに遠くないところで大きく生徒の数が減る。今まで大体7万人ぐらいだったと思うが、それを1対2の割合で私立と公立が分け合ってきたということであるが、一時は私立も2,600人ぐらいまで定員割れがあったと記憶しているが、それは相当解消されてほとんど今ないところまで、若干増えてきたが、それにつれて県立というか公立というか、倍以上になっている。そこへ持ってきて、今度は無償化がどんと進むとなると、今までのスピードではなく、私立にかなり進んで、もっと定員割れを起こしていくという気がしている。中高一貫にお金をつぎ込むことも結構であるが、ほかの公立高校の校舎、また、いろんな設備にお金を投じていかないと、公立高校として存在意義がだんだんなくなっていくと心配をしている。生徒が減っていくと、当然地域に、4校あったらそれを3校にするのか、2校にするのかを今から考えていかないと、どこの学校の校舎を直すか投資額が違ってくるので、そのような意味では公立高校の再編を含めた校舎、また、施設の整備、私立に負けない整備をしていかないことには、どんどん魅力に欠けていく。どんなに中身の仕組みを変えても、校舎がきれいで、先生が元気なところへ行くから、将来像をどうしていくかということも考えて、当然再編計画は考えていると思うが、いつ頃どのようにするつもりか、考えを聞きたい。
【あいちの学び推進課長】
再編の話だが、県教育委員会では2021年の12月に県立高等学校再編将来構想を策定して、学校関係者を中心に幅広く意見を聴きながら、魅力化、特色化、再編に向けた具体的な取組を検討し、順次、公表をしている。
愛知県全体の中学校卒業者数だが、ここ数年7万人程度で推移しているが、今から13年後の2038年には約2万人減少し、5万人程度になることが見込まれている。
また、高校無償化によって生徒にとって私立高校への進学がより選択しやすくなるので、県立高校の入学者の減少についても懸念をしている。
このような状況を踏まえて、現在中学校卒業者数の推移や、中学生の進学ニーズ、あと、国立、市立、私立を含め高校の設置状況を総合的に勘案して、当面の県立高校の再編、統合と魅力化、特色化を両輪で検討しているので、その方向性がまとまり次第、できるだけ早く公表したい。
【富田昭雄委員】
そのようなことだと思うが、もうちょっと具体的に、もう計画はできているのか。クラス数を減らすのではなくて学校を削るのだろう。その辺も含めていつ頃出すのか。
【あいちの学び推進課長】
実際に検討を進めている学校というのはあるが、まだ方向性がまとまっていない状況である。したがって、具体的な中身をなかなか今は述べる状況にないが、中身、方向性がまとまり次第早急に公表したい。
【富田昭雄委員】
2,600人の欠員があるということで、もう40クラスや60クラス削らなければいけない。クラスを削るということでいくならそれで済むが、7万人が5万人になるということであれば、学校の数は今150校あるが、どれぐらい削るかというところ。ただ、地域でやはり学校がなくなるというのは大変大きな意味があるので、慎重に、どこをどうするかということについては議論を重ねていかないといけないと思うが、もうそろそろやっていかないと駄目だと思うので、ぜひよろしくお願いする。
最後は部活である。部活については、あまり県教育委員会のよい答えを期待していない。期待していないというのは、もう手も足も多分出ない。県立高校しかないので、そのような意味では、小中については県が何かやるかというと、なかなかやれることはないと思うが、部活の今回の地域移行は大変大きな問題であり、地域の市町の保護者は大変困惑しているということはよく理解しておいてもらいたい。その上で、県教育委員会としてどのような認識に立って、どう対応していくかは大変重要なことだと思うので、県教育委員会としての見識をしっかりと持ってもらいたい。
この間の朝日新聞にも載っていたが、熊本市は、市に部活を残すという方針を出した。そのようなところも出てきている。これはある意味では部活動を大変重視していて、一つは生徒を今まで学校の授業と部活動という二つの視点で見て教育をしていた。その半分の、片方の部活がなくなることについて、教育としての存在感が薄まるという、そのような認識に立って、熊本市の教育長は残すと言っている。そのようなところがこれから出てくるだろうと思うし、学校の先生の中にもクラブ活動をやりたいがやらせてもらないと言っている声も多数聞いている。これについてはどれぐらいのパーセンテージがあるか分からないが、中学校には相当いるのではないかと思うが、実際にその中でも伝統校は今でも全国大会に出ていく。9連覇をしている、名東区に神丘中学校があるが、吹奏楽は全国レベルで、保護者が集まって、いつも大会を開いて地域の人が見に行くという。これをなくすのかという話になる。今までは顧問の先生は、人事異動としては必ずこの人の後はこの人だと決まっていて、10年ぐらいのスパンで替わって、そこは継続されていくように伝統校はなっている。今でもそうみたいだが、ただ、それ以外のところはもうほとんどない。地域移行がちゃんとできていればいいが、地域移行ができていないとなると責任を取るところがない。この間も保護者が来て話を聞いていると、中学によって相当ばらつきがある。もうほとんど部活がなくなってきているところもある。あるところは伝統のあるクラブが少しは残っているが、現場によって状況がかなり違ってきている。来年になるとほとんどなくなってしまうのではないか。なくなったときに、地域移行がちゃんとできていればよいが、地域にそれだけの受皿があるかという話もあると思う。熊本市が地域移行をやめたのはそれも一つあるそうである。
2万人の中学生を受けるだけの地域の総合クラブがないということで、改めて市の教育委員会がしっかりとそれを受けて、やりたいと言っている学校の教員と、プラス今までどおりではできないので地域の指導者も取り入れてやっていくという新しいハイブリッド型のものをつくっていくということを宣言していたが、それが現状に合っていれば、そのような方法が望ましいのかもしれない。私が心配しているのは、今までの小中学校の部活動、特に中学は教育という側面でいうとかなりウエートが大きかったのではないか。単なるスポーツということではなくて、教育という面での側面が剥ぎ取られることについて、もしこれがいわゆる地域移行して、地域移行の受皿となるクラブにそのような側面はないと思う。だから、サッカーや野球を大人までやっていく、そのようなスポーツについて技術的にレベルを上げていくというところはあるかもしれないが、教育という側面がなくなることについて大変危惧をするわけであるし、そこに携わっていた先生の思いもあり、それが今度はやる場所がなくなることについて、先生も生徒と接する面でどうかという気がしているが、それをケアというか、どう学校でそれを授業だけで補っていくのかについて、しっかりと教育委員会で議論していって、生徒たちがしっかりとした教育が受けられればよいと思うが、単に国がそのような方針を出したから、学校の先生が大変多忙で、そのようなところまではもう限界があるのはよく分かる。だからといって子供たちに対する教育について、これからの時代はそのような教育の環境の在り方ではないということならそれでよいと思うが、それはそれでしっかりと打ち出していかないといけないと思うが、教育長の所見を伺う。
【教育長】
最初に、大きな問題だというのは、これまで部活が果たしてきた役割の大きさがあると思う。それは教育的な意義が大変大きかったと思う。先輩がいて、後輩がいてという異なる学年での人間関係をつくる、あるいは責任感、協調性、さらには授業の場所とはまた違ったところでの自己肯定感の涵養とか、そういった教育的意義が大変大きかったと思う。それらが一人一人の教員の献身的な支えによって何とか部活は成り立ってきたものと思っている。だから、そうした意義は確かになかなかそれを継続していくことは難しい部分もあると思う。さらにそこに我々としては、できればまた違った形になったときに、違った役割、違った意義というものを付け加えていくことが大事だと思う。それは、一つには、学校の垣根を越えたつながりをつくっていくことや、あるいは学校の垣根もあるし、広い世代との交流もあると思う。そういった新しい価値をできれば付加するような形になるのが一番望ましいと思っている。
それでは、どのような形態があるんだと。例えば熊本市はある意味部活の形を残したような形、そこに新しいものを入れた形でやっているというのもあった。形態としては一つの形でこれが理想的であるとは思っていない。それはそれぞれの地域、市町村の事情によるので、それぞれの市町村がそれぞれの実情に合った形で、どのような形が一番子供にとってよいのかを考えていくことが必要だと思っている。それは我々も一緒になって考えていかなければいけないと思っているので、多分形は千差万別になると思う。実施形態も千差万別。それから、活動内容そのものもそれぞれまた多様なものになってくると思う。
ただ、それでも全てはやっぱり子供にとって、よりよい改革になるようにということだけは市町村も、それから我々、県教育委員会も同じ思いだと思っているので、思いは共有しながら、次の6年間、これでまた改革実行期間ということになるので、それぞれの実情に合った地域展開の仕方を、子供たちにとって何が一番大事なのかを常に念頭に置きながら、市町村と一緒に考えていくことが我々に求められていると思っているので、これからも引き続き指導してもらえればと思っている。
