令和8年2月定例会(第5号) 2026年3月4日

◯九十一番(富田昭雄君)
 議長のお許しを得ましたので、通告に従い順次質問してまいります。
 まずは、生成AIの急速な進化と、それを踏まえた本県行政の今後の在り方についてお聞きいたします。
 最初に、このテーマを考える上で避けて通れない技術進化のスピード感について、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 電話が社会に普及するまで、およそ七十六年かかったと言われています。インターネットでさえ、社会全体に広く行き渡るまでに六年程度の時間がありました。この間、行政には制度を踏まえ、前例を確認し、段階的な導入を進めるための十分な検討期間が存在いたしました。
 しかし、生成AIはどうでしょうか。チャットGPTに代表される生成AIは、僅か二か月ほどで一億人規模の利用者に到達いたしました。これは、電話やインターネットとは全く異なる次元のスピードです。ここで起きているのは、単なる便利なツールの登場ではありません。社会標準、仕事のやり方、住民の期待水準そのものが、行政の検討スピードを大きく上回って更新されているという構造的な変化です。
 これまで行政が大切にしてきた、慎重に検討する、前例を重視する、段階的に導入するといった姿勢は、かつては合理的であり、必要なものでありました。
 しかし、現在では、検討している間にも、住民側の当たり前が変わり続けています。その結果、何もしないこと自体が行政サービスの遅れや、職員負担の増大につながるリスクになりつつあるのではないでしょうか。
 さらに重要なのは、現在のAIが単なる文章を作る技術では既にないという点です。生成AIは今、長文の要約、膨大な規模の過去資料の検索、情報の分類と整理、複数案の比較、起案の下書き作成といった仕事前段階そのものを一体で担う存在へと進化しています。言わば、行政業務を下支えする業務OSのような役割を果たし始めていると言えます。これは、人の仕事を奪う技術ではなく、むしろ人がやらなくてもよい仕事をAIに任せ、人でなければできない仕事に、人と時間を戻すための技術です。
 そこで、愛知県の行政現場はどうかということであります。まだまだ、探す、まとめる、整えるデスクワークに多くの時間を割いているのが実情ではないでしょうか。本来は、住民対応、現場確認、関係者の調整、判断が求められる業務、こうした人でなければ担えない業務に十分な時間が割けていないという構造が各所で生じていると感じています。そして、ますます進行する職員不足、人材不足を考えれば、これまでと同じ仕事のやり方を続けること自体が、行政運営の持続可能性を脅かしかねない状況にあります。
 そこで、愛知県が今後どうすればよいかという話でありますが、あいちDX推進プラン二〇三〇を策定して取り組まれていると伺っています。具体的には、各部署に若手職員を配置し、県全体のデジタル化、DX推進に取り組まれ、人材育成と業務の効率化を図っておられると認識しています。
 その中でも私が注目しているのは、このデジタルトランスフォーメーションを確立し、事業や組織を変革することであります。そのためには、考え方を変えなければなりません。今までは、PDCAのサイクルを回すことでありましたが、それに加え、これからはOODAを回すことになります。Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字を取ったもので、意思決定の考え方の一つであります。デジタル化・DX推進に当たって、OODAループの考え方を取り入れることにより、変化の即応性、対応性を高め、実効性がある取組の継続につながっていくことと思います。
 そこにAI統括責任者CAIOを配置し、生成AIの適正な調達や利活用を行うとお聞きしています。
 そこで、実際に他県の先行事例もありまして、東京都では、文書生成AIの活用について、三十四の具体的な業務事例プロンプトを整理した事例集を公開し、全庁的な活用を進めています。横須賀市では、生成AIを全庁的に導入した実証実験を行い、その結果や課題を結果レポートとして公表しています。また、国においても、デジタル庁が生成AIの調達、利活用ガイドラインを策定し、リスク管理と活用促進を両立させる方向性を明確に示しています。つまり、もはや前例がないからできないという段階ではなく、どう安全に、どう運用するかというフェーズに入っていると考えます。
 そこでお聞きいたします。
 この急速なAIの進化を踏まえた上で、本県としてまず取り組むべきは、いきなり高度なAI活用や大規模な制度改革ではなく、職員向けの社内ヘルプデスクAI、すなわち過去の事例や通知を横断的に参照できる、また、起案や答弁の下書きを支援できるような内部業務を支える生成AIではないでしょうか。
 この取組は、職員削減を目的とするものではなく、人手不足が避けられない時代において、限られた職員の時間をどこに再配分するかという、行政運営上の判断であります。探す、まとめる、整える業務をAIに任せ、判断する、現場に行く、住民と向き合う業務に職員の力を注ぐ、その第一歩として、庁内ヘルプデスクAIのような取組を導入していくお考えはないか、お聞きをいたします。
 また、生成AIをはじめとするデジタル技術が急速に進化する中、こうした変化に行政として的確に対応していくために、職員一人一人のデジタル技術に関する能力向上が極めて重要であると考えます。
 そこで、今後、デジタル技術の進歩に対応するため、職員の育成にどのように取り組んでいかれるのか、具体的な施策についてお聞かせください。
 次に、愛知の強みを生かした観光戦略についてお聞きいたします。
 愛知は、三英傑を生んだ歴史を含め、武将観光としては、名古屋城や犬山城など、城郭や城址も豊富にあるほか、桶狭間や長篠、小牧長久手といった古戦場、さらに、東海道の宿場町や松並木など、街道観光を楽しめるスポットもあり、本県は、これらの歴史的な観光資源を活用した観光誘客、周遊促進に積極的に取り組んでこられました。
 そして、今年度は、武将や街道など歴史にゆかりのある庭園に新たに注目し、これらの提案を活用したフォトコンテストが実施されました。
 さらに、庭園を活用した取組は、国においても進められて、国土交通省がガーデンツーリズム登録制度を創設し、国内外にPRを実施しています。現在、全国で十八の取組が登録されています。このガーデンツーリズムは、大きな武器になると私は考えます。それもお金をかけなくても海外から誘客できる手段であります。
 日本政府観光局(JNTO)が令和六年一月に発表した世界二十二市場の国外旅行の意向等に関する調査というものがありますが、国外旅行の主目的となるものが、一位がガストロノミー美食、二位がテーマパーク、三位がアート鑑賞となっていますが、実は、四位が何と庭園であります。
 お隣の三重県でも有名な庭園がありまして、今非常に人気になっています。このガーデンツーリズムにも取り組んでおられまして、三重県も昨年の四月に国交省のガーデンツーリズムに登録し、七つの庭園が連携し、取り組んでおられます。それぞれの庭園のお客さんが増え、インバウンドにも対応しています。
 愛知県も国交省のガーデンツーリズムに登録して、量を求める観光から、質を重視する観光へ転換を図らなければならないと思います。そこには、オーバーツーリズムの問題がありまして、これから、付加価値系のいわゆる富裕層を狙っていく戦略がよいと思います。愛知県は、そういう意味では、二〇二三年にホテルTIADができ、昨年はエスパシオもできるなど、富裕層にたくさん来ていただける環境が非常に整ってきたと思うのです。
 そして、大都市の富裕層に関するプログラムは飽和状態ということであり、富裕層が今までのプログラムに飽き始めているという世界的な傾向があるとお聞きしています。その中で、日本庭園が非常に人気のコンテンツで、何百億という投資が要らず、庭園をガーデンツーリズムとして巡るという形でコンテンツをつくっていきます。
 例えば、織田有楽斎が京都から国宝の茶室、如庵を移築した庭園として犬山に有楽苑があります。有楽斎の末裔の方が愛知県在住でいらっしゃいます。さらに、志野流香道二十一世家元、蜂屋さんも愛知県にいらっしゃいます。あとは、柳生であります。
 そういった付加価値で、外国人が喜ぶようなお茶や香道、剣術などといった本物の方々が愛知にお見えになります。日本の文化や武道を伝承する方々が、日本庭園の建物の中で、お茶や香道をやったり、演武をやったりといったことも可能になります。
 今後、付加価値のあるおもてなしをインバウンドの方々に展開していけば、必ず愛知県に来ていただけるのだと思います。
 あいちの歴史観光推進協議会がありますが、そこで、にっぽん城まつりというのをやっておりますが、お城も国内だけではなく、海外に対しても非常に訴求力が高いようなので、お城で一泊百万というようなことが各地で行われておりますが、できるだけ付加価値の高い企画を欧米の富裕層をターゲットに案内する。そこには、庭園とその関連、親和性が高いわけであります。
 特に、二〇二七年三月になると、国際園芸博覧会が開催されます。国際園芸博覧会は横浜でありますが、テーマは庭園であります。多くの企業パビリオンが庭園を造るということで、これから非常に庭園が注目されるということであります。
 この尾張三河地域の特徴は、京都の雅な庭園と違って、侍ゆかりの日本庭園が非常に多いということで、今年から大河ドラマ豊臣兄弟!ということで、この地域にスポットが当たっています。最大のチャンス到来であります。そういう意味において、サムライガーデンというものを全世界にアピールしていく、そして、アジア・アジアパラ競技大会が今年の秋に開催されますので、そういった機会にセレモニーなどで活用する。
 来年度は、二〇二七年、アジア開発銀行(ADB)の年次総会が愛知で開催されます。その折にも日本庭園を紹介していく。
 そして、二〇二八年の技能五輪国際大会には、造園士という人たちが世界各国から大勢お見えになります。造園士が来日した折には、日本の庭園を見せて、例えば、各庭園が万博と同じようにフレンドシップ事業をやるなど、造園士を通じて日本庭園の魅力が世界に発信されれば、愛知の庭に来る、京都の雅な庭と違って、質実剛健な迫力のあるサムライガーデンを見に来るのではないかと思っています。
 インバウンド相手に商売をしている企業の皆様に聞いてみますと、愛知の強みはジブリパークという話になります。インバウンドで、一回来ると百万使うような人たちは、結構家族で来るというケースが多いらしいです。子供たちはジブリパークに行く、その後に庭園を見るという、まだ開発余地が愛知にはかなりあるということを言われるそうです。
 海外の富裕層は、東京、大阪、京都、金沢ではないどこかを探しているということは、フォローの風なので、そういった方々にアプローチしていけば、何百億とかけなくてもおもてなし企画ができるのではないかと思います。
 そこでお伺いいたします。
 国のガーデンツーリズム登録も含め、武将や街道などゆかりのある庭園を活用した歴史観光の推進に向け、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
 次に、道路の長寿命化に向けた維持管理についてお伺いをいたします。
 まだ記憶に新しいところですが、二〇二五年一月二十八日、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、下水道管の破損が原因とされ、公共インフラ老朽化対策が喫緊の課題であるということを改めて突きつけました。
 二〇一二年十二月に笹子トンネルの天井板崩落事故以来、インフラ老朽化対策は進められてまいりましたが、八潮市の事故では、下水道管内で発生した硫化水素により管路が損傷し、陥没事故では巻き込まれたトラック運転者の方が亡くなられておられます。
 その後、上流域では、住民百二十万人の下水道利用が一時制限されましたが、破損した下水道管は復旧し、今年の四月には、暫定的に片側一車線ずつ通行可能になる見通しとなっております。
 このような大規模な陥没事故に限らず、全国で道路陥没が多数発生しております。国土交通省が昨年十二月に公表したデータによれば、二〇二三年の道路陥没は、全国で一万二千二百九件、二〇二四年には九千八百八十六件に上り、愛知県でも二〇二三年度七百十四件、二〇二四年度には五百三十三件と、全国三位の多さとなっております。
 本県の道路は、都道府県を単位で比較すると、道路延長は、全国第三位の約五万キロメートル、道路面積は、全国第二位の約三百四十五キロ平方メートルと、全国的にも上位の規模を有しています。こうした道路網が産業活動の発展、地域経済の活性化、県民生活の利便性の向上に大きく寄与していることは言うまでもありませんが、同時に、これだけの多くの道路陥没が発生している現状は、本県も例外なく厳しい状況に直面していることを示しております。
 また、国土交通省の道路メンテナンス年報によれば、国は、昨年度、約三千キロメートルを対象に路面下空洞調査を実施し、四千七百三十九か所の空洞を確認しており、そのうち陥没するおそれが高いとされる百十九か所については、既に修繕に着手しているとのことであります。
 路面下空洞調査とは、舗装の下に生じた目視できない空洞を早期に発見するため、道路面にレーダーを照射し、その反射波を解析して、道路下一・五メートルまでの空洞の有無や位置を把握する調査であります。
 道路の陥没は、一たび発生すれば重大事故につながるだけでなく、地域全体に甚大な損害をもたらし、復旧には多大な費用と時間が必要となることから、社会経済活動全般に広範な影響を及ぼすことになることを危惧しております。このためにも早期発見、早期対応などにより、陥没を未然に防止することは何よりも重要であると考えます。
 そこでお聞きいたします。
 まずは、道路陥没の未然防止に向けた本県の取組についてお伺いをいたします。
 また、老朽化だけではなく、道路の維持管理を取り巻く大きな課題として、人材不足の問題が挙げられます。少子・高齢化の急速な発展により、今後、多くの産業分野では人材不足が一層深刻化することが見込まれていますが、その中でも、建設業界においては、かつてない構造的な課題に直面しており、職員不足による技術継承が困難となっています。
 国土交通省の統計によれば、建設業の就業者数は、一九九七年の約六百八十五万人をピークに年々減少を続け、直近の二〇二四年では約四百七十七万人となり、実に約三割に当たる二百八万人が減少したことになります。さらに、年齢構成に目を向けると、二〇二四年における五十五歳以上の割合は、全産業平均と比較して、建設業はかなり高くなっており、逆に、二十九歳以下の割合は非常に低くなっています。若年層の不足と高齢化の進行が同時に進む構造的な課題を抱えていることが明らかです。この状況は、将来的な担い手不足をさらに深刻化させ、日常的な対応から緊急対応まで幅広い業務が求められる道路インフラの維持管理においても大きな制約となることは避けられません。
 このように、人材不足と高齢化が同時に進行する中、道路インフラの維持管理分野においても、従来のように人の目と経験に依存した手法を、これまでと同じ規模で継続していくことは困難になりつつあるのではないかと考えます。限られた人材や予算の中にあっても、将来にわたり全ての道路施設の安全性と機能を確保し続けることが強く求められています。そのためには、従来型の管理手法から転換し、より効率的で持続可能な維持管理体制を構築していくことが不可欠であります。
 本県が、県民の安全・安心を支える道路環境を持続的に維持していくためには、日常管理、点検、修繕など、維持管理の各フェーズにおけるデジタル技術の活用、すなわちデジタルトランスフォーメーションを積極的に推進していくことが今後ますます重要になると考えます。
 そこでお聞きいたします。
 道路の維持管理におけるDXの取組状況についてお聞きいたします。
 次に、労働需要と人材供給のミスマッチについてお聞きいたします。
 日本の労働市場も現在、歴史的な転換点を迎えています。少子化に伴う労働人口の急速な減少、脱炭素化や経済安全保障の要請がもたらす産業構造の変革への対応は待ったなしであります。さらに、生成AI、人工知能をはじめとするデジタル技術の普及などにより、求められる人材やスキルは大きく変化しています。
 しかしながら、従来、労働市場の流動性がさほど高くなかった日本において、こうした新たな需要に労働者が円滑に対応できるのか、必ずしも明確な展望が開けているわけではありません。もし適切なマッチングが図られなければ、労働者は、望まない仕事にモチベーションが低いまま従事せざるを得ず、生産性の向上やイノベーションの創出は期待できません。これは、企業の競争力にも影響を及ぼす大きな課題であります。
 政府は三位一体の労働市場改革を掲げ、従来硬直的であった労働市場の改革を進めています。すなわち、リスキリング支援、企業の実態に応じた職務給の導入、そして、成長分野への労働移動の円滑化、この三点を柱とする改革であります。成熟期を過ぎた事業分野から、今後成長を見込まれる事業分野に人材が移動していくことは、国全体の生産性向上をもたらし、結果として労働者の賃金上昇にもつながる、本来望ましい姿であります。
 人工知能の普及でホワイトカラーの人材が余剰となる一方、製造現場やエッセンシャルワーカーが足らないと言われています。余剰となった人材が、高度なスキルを備えた製造業職やエッセンシャル職に転換するということも解決策として有望であります。
 実際、アメリカでは、リスキリングをする人たちが増え、職業訓練校に通い、ブルーワーカーに転職して、今では事務職の三倍を稼いでいるとお聞きします。
 しかし、我が国の現状では、現場からは依然として人手不足の声が絶えず、人材のミスマッチが深刻であることを示しています。
 今後、団塊ジュニア世代が高齢者になる二〇四〇年頃には、少子・高齢化、地方の過疎化が一層深刻化します。日本成長戦略会議人材育成分科会における二〇四〇年の就業構造推計についてという経済産業省の資料によれば、特にAIやロボット等の理系の人材不足が顕著であり、我が国の社会経済構造は、新たな局面を迎えるとされています。こうした局面を打破するために、人材育成を強化し、社会経済の持続的な成長を実現する必要があります。
 経済産業省の推計では、二〇四〇年には、AI、ロボットを担う人材が約三百四十万人、現場人材が約二百六十万人不足する一方、事務職は約四百四十万人が余剰となる見込みです。また、大学・大学院卒の理系学生が約百二十万人不足する一方で、大学・大学院卒の文系学生は約八十万人の余剰が生じると予測しています。
 職業間、学歴間のミスマッチの解消に向けて、労働需要に対して人材供給の面から対応するために、必要なスキルの底上げが求められています。特に、愛知県の基幹産業である製造業では、生成AI、ロボットなど高度な情報技術を活用していける人材が、また、私たちの生活や社会活動を支えるエッセンシャル産業でも、省力化、生産性向上に資するデジタル技術や設備を使いこなせる人材が求められています。
 そこでお聞きいたします。
 労働需要と人材供給のミスマッチに対応するためのリスキリングについて、愛知県として今後、どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。
 続いて、教育委員会にも同じ観点から質問いたします。
 我が国の大学に入学する学生のうち、理工系入学者は一七%にとどまります。諸外国の中でも低く、OECDの中では、ノルウェーと並んで最下位です。義務教育修了段階では、比較的高い理数リテラシーを持つ子供は約四割いるにもかかわらず、高校段階では普通科理系の二割、大学入学時には理工農系学部の学生は約一割に半減し、修士、博士と先細っている状況です。特に、女子の理系離れは深刻であります。学士の理工農系進学は、女子全体の五%にすぎません。
 このままでは、将来的に拡大が見込まれる産業へ進む若者が先細りする一方で、縮小が見込まれる産業に多くの若者が進む構造が固定され、教育システムそのものが時代の要請に応えられなくなるおそれがあるのではないかと思います。早急に何か手を打たなければなりません。
 例えば、私は、総合的な探究学習の時間を活用し、理系分野への関心を高める機会を創出することも有効だと思います。特別免許や臨時免許を授与して、地元の企業の経営者の方、モノづくりの技術者、医療、介護の従事者、農業や生成AIの専門家など、多様な人材に講師として参画いただくのはいかがでしょうか。
 そこでお聞きをいたします。
 労働需要と人材供給のミスマッチが起きないようにするために、教育委員会として理系人材の育成に今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

総務局長(纐纈知行君)
 初めに、庁内ヘルプデスクAIの導入に関する取組についてお答えします。
 人口減少や少子・高齢化に伴う職員の不足が懸念される中、持続可能で質の高い行政運営を行っていくためには、生成AIをはじめとするデジタル技術の効果的な活用が不可欠であると認識しております。
 こうした中、議員御指摘の庁内ヘルプデスクAIに当たる取組としましては、職員が服務や給与等の届出、申請に利用する総務事務システムにおいて、この二月から、職員が入力した質問に対してAIが適した回答を提示するチャットボットを導入したところであります。
 また、服務や給与以外に関する取組として、来年度からは、各所属で作成した規程や要領を一括学習させた生成AIによる庁内応答システムを導入し、業務に必要となる規程等の確認に要する時間を削減し、事務の効率化を図ってまいります。
 今後もAIをはじめとしたデジタル技術を適切に活用し、職員の日常業務の省力化を着実に推進することにより、人間にしか担えない、判断、対話、調整といった業務に職員の力を集中できる環境を整え、継続して質の高い行政サービスを提供できるよう取り組んでまいります。
 次に、デジタル技術の進歩に対応するための職員の育成に関する取組についてお答えします。
 昨年十二月に策定したあいちDX推進プラン二〇三〇においては、進化するデジタル技術や変化する社会ニーズに対応し続けていくため、全ての職員をデジタル人材として位置づけるとともに、中核となって実務を取りまとめるDX推進人材を定め、全庁一体となってデジタル化とDXの推進に取り組むこととしております。
 具体的な取組としては、職員の役割に応じたスキルに基づく研修プログラムを引き続き実施してまいります。全ての職員には、セキュリティーや生成AIの基礎知識を習得するための動画研修を中心に提供し、DX推進人材には、より高度な知識や実践的な技術を身につけるための集合研修も実施してまいります。
 また、来年度からは、職員の自発的なデジタル技術の習得を後押しするため、ITに関する基礎的な知識を証明する国家試験であるITパスポートなどの資格取得支援を行うこととしております。この取組により、職員のIT関連資格の取得状況を把握することで、デジタル人材の適切な配置や育成につなげ、組織全体としてのデジタルリテラシーの向上を図ってまいります。

観光コンベンション局長(多田龍介君)
 愛知の強みを生かした観光戦略についてお答えいたします。
 大河ドラマ豊臣兄弟!が放送される本年は、愛知の歴史観光をPRする絶好の機会でございます。こうした機会を捉え、中村公園や徳川園など、県内各地の武将や街道などにゆかりのある魅力的な庭園を活用した取組を推進することは、本県へのさらなる誘客拡大を図る上で、大きな可能性を秘めていると考えております。
 国土交通省においては、複数の庭園が連携して魅力を高め、国内外からの誘客と地域活性化を目指すガーデンツーリズム登録制度を設けており、登録された計画について、イベントやウェブサイト等を通じた国内外へのPRを実施しております。
 本県としましても、同制度への登録を目指し、県や市町村、観光関係団体等で構成するあいちの歴史観光推進協議会において、今後の取組等をまとめた計画を策定し、先月、国へ登録申請したところであり、今後、国の有識者会議において審査が行われる予定となっております。
 本計画では、全国で初めて、武将や街道などにゆかりのある庭園をサムライガーデンと定義するとともに、効果的な情報発信や多彩なイベント開催、魅力的なコンテンツ造成などを通じて、若年層や女性など新たな歴史ファン層の獲得、富裕層を含めたインバウンド誘致の強化、県内各地への周遊促進、さらには、地域の庭園文化の継承、発展を目指すこととしております。
 豊臣兄弟!放送も追い風に、愛知ならではのサムライガーデンを軸とした取組を官民一体となって推進することで、愛知の歴史観光の魅力をしっかりと高めてまいります。

建設局長(西川武宏君)
 道路の長寿命化に向けた維持管理についてのお尋ねのうち、まず、道路陥没の未然防止に向けた取組についてであります。
 社会的影響が大きい道路陥没事故が発生するリスクを防ぐためには、道路管理者と占用者が連携し、取り組むことが重要であります。
 本県では、布設後三十年が経過した下水道管が埋設されている緊急輸送道路などを対象に、二〇一七年度から路面下空洞調査を試行的に実施してまいりました。二〇二四年度までの八年間で、延長約四百四十キロメートルの区間を調査し、その結果から、地下埋設物の多い都市部の区間で空洞の発生率が高いことを確認しております。
 このため、来年度から、県管理道路の全ての区間を対象に、五年に一回の周期で本格的に路面下空洞調査を実施することとし、都市部の中でも交通量の多い区間を優先的に調査するなど、効果的に進めてまいります。
 あわせて、照射するレーダーの改良により、深さ三メートル程度まで確認できる新しい技術も試行的に活用し、さらなる調査精度の向上に取り組んでまいります。
 また、昨年四月に国が中心となって設置した愛知県地下占用物連絡会議において、道路管理者と占用者が調査結果などの情報を共有し、連携して道路陥没を防ぐ取組を実施してまいります。
 次に、道路の維持管理におけるDXの取組についてであります。
 本県では、効率的な維持管理に向けて、日常管理、点検、修繕などにおいて積極的にDXの推進に取り組んでおります。
 まず、日常管理においては、発見から措置完了までを確実に対応するため、道路パトロールで発見された異常箇所などの情報をタブレット端末で登録し、担当者間でリアルタイムに共有することで、一元的に管理しております。
 さらに、道路パトロール員の目視による確認に加え、車両に搭載したカメラで取得した画像から、穴ぼこなどの異常を検知するAI技術を試行的に導入しており、今後は、その効果的な運用方法の検討を進めてまいります。
 また、道路構造物の点検、診断においては、効率的な修繕につなげるため、橋梁においては、ドローンなど新技術を活用した点検を実施するとともに、診断精度を向上させるため、損傷箇所の検出や健全性の評価を支援するAI技術の導入に向けた検討を進めております。
 さらに、舗装の点検においては、今年度からAI技術を導入し、路面の健全性を診断しております。
 一方、工事においても、交通誘導員の省人化のため、車両の通行状況から最適な交通誘導を行うAI技術を、今年度は四か所の工事現場で試行的に導入しており、一定の安全性を確認できたことから、来年度は対象箇所の拡大を図ってまいります。
 引き続き、道路の長寿命化に向けた維持管理に着実に取り組んでまいります。

労働局長(金山敏和君)
 労働需要と人材供給のミスマッチに対応するためのリスキリングについてお答えします。
 企業の生産性向上に大きく貢献する、AI、ロボット等の活用を担うデジタル人材が不足する中、今後、余剰が生じるとされる事務職等の人材が、そうした知識や技術を改めて習得するリスキリングが大変重要です。
 そこで、本県では、働く人が、デジタル技術の基礎知識や活用力を身につけられるよう、企業内の各階層に対応した各種のデジタル研修や、社内研修の計画、実施に係る伴走支援等を行っています。
 また、来年度は、中小企業のデジタル化を支援する、商工会、商工会議所や、行政書士など士業の指導人材向けにスキルアップ事業を開始するなど、地域全体でデジタル人材の育成を進めてまいります。
 一方、人手不足が続く製造業や、いわゆるエッセンシャル産業の現場では、従来の専門スキルとデジタル技術、設備の活用を組み合わせて、生産性向上に貢献できる人材が求められています。
 そこで、本県の高等技術専門校では、ロボットシステムなど高度なデジタル活用訓練に加え、来年度から、一般的なモノづくり分野の訓練でも、DXやネットワークの基礎をカリキュラムに取り入れます。また、エッセンシャル産業分野では、介護や建築物施工の訓練コースに、デジタル技術の活用を学ぶ科目を設けております。
 こうしたデジタル技術の活用を中心としたリスキリング、デジタル人材育成の取組により、本県産業の生産力向上、省力化を図りながら、労働需要と人材供給のミスマッチ解消に努めてまいります。

教育長(川原馨君)
 県立高校における今後の理系人材の育成についてお答えいたします。
 二〇四〇年に見込まれる少子・高齢化や地方の過疎化の深刻化、産業構造の変化に伴う、いわゆる理系人材の不足といった社会情勢の変化を見据え、先月、文部科学省から、高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)が公表されました。その中で、理系人材の不足に対する今後の取組の方向性として、文理の枠を超えた教科横断的な学びや、地域の高等教育機関との連携、協働による理数教育の充実などが示されたところでございます。
 現在、本県では、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール指定校や理数科設置校が中心となり、先進的な理数教育に取り組んでおります。また、希望する生徒が理系の大学の講座を受講できる知の探究講座や、科学分野で競い合うあいち科学の甲子園など、科学への興味、関心を育む取組を進めております。  今後は、これまでの成果を生かしながら、国のグランドデザインを踏まえ、大学や研究機関と連携した文理横断的で探究的な学びをリードするパイロットケースを来年度創出し、その成果については、県内全域の高校へ広く展開してまいりたいと考えております。
 こうした取組を通して、これからの社会で活躍できる幅広い教養と科学的思考力を備えた理系人材を育成してまいります。

知事(大村秀章君)
 富田昭雄議員の質問のうち、道路の維持管理について、私からもお答えをいたします。
 道路は、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の経済活動を支えるとともに、多くのライフラインが集約される地域社会の生命線であります。一方、高度経済成長期に集中的に整備されたインフラは、今後、加速度的に高齢化してまいります。
 このため、日常の維持管理はもとより、インフラの健全性を確保し、適切にマネジメントしていくことが極めて重要であり、本県では、予防保全型の維持管理へ転換を図るため、様々な最新技術を積極的に取り入れ、計画的な点検や修繕に取り組んでおります。
 さらに、社会的影響の大きい道路陥没の発生リスクを低減させるため、下水道管路の健全性の確保に取り組むとともに、路面下空洞調査についても、最新技術を駆使し、道路の機能と安全性を確保してまいります。
 今後も計画的かつ適切な維持管理を推進し、県民の安全・安心と産業活動を支える社会基盤整備にしっかりと取り組んでまいります。

九十一番(富田昭雄君)
 それでは、私からは再質問を一つと、要望を一つお願いしたいと思います。
 労働需要と人材供給のミスマッチのところでありますが、労働局に再質問ということでありますが、御答弁いただいた中のミスマッチ解消に向けてのデジタル人材育成とリスキリングが大変重要である、企業の研修などの取組に伴走するということで御答弁いただいた、そのことについては理解をしたいと思いますが、特に、この愛知において、中小企業ですが、中小企業の皆様においては、それぞれ中身が大変温度差があるというふうに思っておりまして、本格的にDXを取り組みたいんだけど、なかなか難しいと言っておられる中小企業の皆様に、基礎レベルから教え込んで、DXの実践まで持っていけるような踏み込んだ支援が必要と考えますが、そのような中小企業支援について今後どういうふうに考えておられるか、取り組まれるか、再度、改めてお聞きしたいと思います。
 要望は、教育委員会でありますが、このミスマッチの問題、現状のままでは時代の要請に応えられないと、やっと文科省も動き始めたということで、ネクストハイスクール構想ですか、お聞きをいたしました。予算が取れれば非常にいいわけでありますけれども、地域の現状を把握した上で、しっかりと独自の取組を計画を練っていただいて、このミスマッチ解消に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 そうした高校の改革もいいのでありますが、私はぜひ、もうちょっと早い段階で、義務教育も含めて、いろんな方々から刺激をもらって、自分の将来の職業観を身につける、そういう場所、時間をぜひともつくっていただきたいというふうに思っております。
 ドイツに行ってきたときに、やっぱりそういった早い段階で自分の職業を選択して、自分の進路を決めていくという、非常にそういう仕組みができておりました。日本もだんだんこれからホワイトカラーが少なくなって、ブルーカラー、現場でのいろんな技術が必要であるということを考えますと、そういった何になりたいかという思いが早い段階で考える場所が欲しいのではないかなというふうに思いますが、要望して終わりたいと思います。
 以上です。

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